米子松蔭サヨナラ勝ち 両校涙、辞退一転異例の再試合で2度目の奇跡

 「高校野球鳥取大会・2回戦、米子松蔭3-2境」(21日、どらドラパーク米子市民球場)

 学校関係者1人の新型コロナウイルス感染で一度は鳥取大会への出場を辞退しながら、19日に一転して不戦敗の取り消しと再出場が決まった米子松蔭が21日、境と仕切り直しの2回戦に臨み、2点差をひっくり返す逆転サヨナラ勝利で初戦を突破した。

 1点差に迫った九回2死満塁。4番・小野陽一朗外野手(3年)が打席に向かった。「結果で、応援してくれた人に恩返しをしたかった」と執念の2点左前適時打を放ち、土壇場でサヨナラ勝ちを決めた。劇的幕切れの瞬間、両校のナインから涙がこぼれ落ちた。

 騒動の影響はあった。17日の辞退決定後からの練習は前日20日の2時間のみ。調整不足と夏の酷暑が重なり、試合中に足をつる選手が何人も出た。そんなアクシデントも乗り越え、死力でナインは勝利をもぎ取った。

 辞退決定後、塩塚尚人監督(29)は「やってきた努力を今後に生かしてほしい」とナインに声をかけた。それでも「世間がざわついていて、なんとかなるんじゃないか」と主将の西村虎之助外野手(3年)は理不尽な決定に諦めきれず、ツイッターで救済を求め、重たい決定をひっくり返した。

 試合をやりたい気持ちは境も同じだった。井上翔太主将(3年)は「西村君の悔しい気持ちを感じた」と西村のツイート拡散に協力。辞退取り消しが決まった際には、同じ弓ケ浜中出身の米子松蔭・松尾星哉選手(3年)と「試合できるな!」「悔いの残らないようにやりきろうな」とLINEでエールを送りあい、対戦を心待ちにした。

 試合後の会見では何度も“感謝”の言葉がこぼれ出た。「全国の応援してくれた方、受け入れてくれた境高校さんに本当に深く感謝したい」と塩塚監督。西村主将も「当たり前にできている野球が楽しくてありがたかった。応援してくれた方に応えるプレーをしたい」と“恩返し”が今夏のテーマに決まった。

 「境高校のためにも絶対甲子園に行って日本一になりたい」と西村。辞退決定を覆し、試合も劇的サヨナラで覆した。2度の奇跡を起こした松蔭ナインの夏が始まった。

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