試合途中で特製グラブ持ち替え左腕にチェンジも 土佐塾の“両投げエース”散る

先発した両投両打の土佐塾・寺田啓悟
2回、左投げにスイッチした土佐塾・寺田啓悟
右で投球する土佐塾・寺田啓悟
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 「高校野球高知大会・1回戦、岡豊3-2土佐塾」(20日、春野総合運動公園野球場)

 “わびすけ”散る。土佐塾の両投げ両打ちのエース・寺田啓悟投手(3年)が先発し、5回6安打2失点。同点の六回に降板した。2番手投手が勝ち越しを許し、最後の夏は初戦で涙をのんだ。

 寺田はこの日、先発全員が右打ちの岡豊打線に対し、ほぼ右投げで投球した。左で投げたのは、二回2死走者なし、7番・浜口颯一朗投手(2年)を迎えた場面。両投げ用の特別製グラブを右に持ち替えると、石本龍騎捕手(3年)が審判に申告し、相手ベンチに投げる腕の変更が知らされた。2者に対して四球と安打でピンチを招いたが、直後に再び右投げに戻して後続を断った。

 「球自体は悪くなかった」という寺田。新型コロナウイルス感染拡大の影響による練習試合不足と、大会前に降り続けた雨の影響で、炎天下での練習時間が十分ではなく、五回には下半身に力が入りにくい状態になっていたという。

 「1回戦で負けてしまい、やっぱり勝ちたかった。頭を使うということですごく成長できたと思う」。今後は大学に進学し、将来的なプロ入りを目指す。「(両投げは)まだまだ未完成。でも絶対にタイミングは合いずらい」と、両投げへのこだわりを語った寺田。挑戦はまだ終わっていない。

 ◆“わびすけ”とは 人気野球漫画「ドカベン」に登場するキャラクター・赤城山高校の木下次郎。投げる直前までどちらの腕で投げるのかわからない投球フォームで、主人公の山田太郎を苦しめた。

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