「マイナビオールスターゲーム２０２１・第２戦、全パ４－３全セ」（１７日、楽天生命パーク宮城）

　球宴史上最大の“下克上”だ。プロ６年目、初出場のオリックス・杉本が二回２死の場面でセの奪三振王・柳の１４１キロを左中間スタンドに運んだ。力をため込んで、放たれた打球速度は１７１キロ。佐藤輝の１６７キロを超える豪弾にスタンドもどよめいた。

　球宴で本塁打を放った史上最も低いドラフト指名順位の選手は、１９７７年の第３戦で放った阪急・島谷金二。ドラフト９位で中日に入団した。杉本は１５年のドラフト１０位で、この記録を更新した。

　「完ぺき。打った瞬間入ると思いました。初本塁打も初シングル安打もこの球場。好きな球場です」

　監督推薦で選出された際には全打席で本塁打を狙うと宣言。「オリックスファン以外の人にも知ってもらいたい」と右拳を突き上げる“昇天ポーズ”の披露も誓っていた。価値ある同点弾で「ここしかないと思って長めにやりました」とテレビカメラの前からなかなか動かなかった。

　六回には山田が放った右翼への大飛球をフェンスに激突しながら捕球する美技。七回には吉田正の安打に続き、三塁内野安打でチャンス拡大するなど、マルチ安打で敢闘選手賞も獲得した。

　「尊敬してやまない」という『北斗の拳』の登場人物ラオウの名セリフに合わせて「（球宴に）悔いないです」とやりきった表情を見せていた。