プロ野球で行うミーティングの中身 データ利用がうまかった元木 内田順三氏の視点

 データ全盛のプロ野球。近年では大きなファイルやノートを手にするスコアラーやコーチの姿も映し出されるが、試合前には一体どういったミーティングが行われているのか。19年まで巨人や広島で37年間、打撃コーチを務めていたデイリースポーツウェブ評論家・内田順三氏に聞いた。

 ◇ ◇

 相手投手に対してはまず配球の傾向だよね。持ち球、それを使うパーセンテージ、スピードの差がどれくらいあるか。ストライクを取りに来るカウント球ではどういう球を使うのか。走者ありなしの場合はどうなっているか。

 投手の癖については、バックネット裏から撮影しているビデオ班が分析する。投げる前の癖、グラブの角度や入り方、セットポジションでのグラブの位置、手首の入り、けん制のタイミングや癖。クイックのスピード、プレートはどちらを踏んでいるかなど。それに加えてキャッチャーの癖も分析する。

 こうしたデータを頭に入れて打席に立っていくわけだけど、それらにとらわれすぎると身動きが取れなくなってしまう。いかに整理して、自分の中で勇気を持って狙っていけるか。一番いけないのは迷うことだから。これがうまかったのはやはり“曲者”と呼ばれていた元木だね。割り切りが上手で、傾向が出ていたら2ストライクまで狙い球を絞り、大胆にやっていた。50%くらいの確率でも狙いにいく選手だった。

 データを利用するか、しないかは本人次第というところもあるが、何度もやられている投手に対しては、チーム単位で徹底的に狙い球を指示することもある。原監督は何度も押される外国人投手に対しては早打ちを避け、走者が出るまでは2ストライクまで打たないなどの指示を出したこともあった。

 データには勇気をもらえるんだけど、やはり情報量が少ない中で打てるのがいいバッターである証拠。速い真っすぐを待ちながら変化球を打っていくのはなかなかできないからね。そういう観点で見ても、相手選手のデータが乏しい国際大会でも力を発揮する広島・鈴木誠也という選手は今の日本でトップクラスと言えるのではないか。

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