DeNAで裏方務める最多勝左腕 現役での酸いも甘いも糧に…藤井秀悟さんの今

「天職」と語る打撃投手を務める藤井さん
 球団公式Twitterに載せる動画を撮影する藤井さん
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 コロナ禍が長引く状況下でもチームを支える裏方の存在は欠かせない。現役時代に注目を集め、今も陰で奮闘する元選手を紹介する「裏方はスゴ腕」。第3回はDeNAの広報兼打撃投手・藤井秀悟さん(43)。99年ドラフト2位(逆指名)でヤクルトに入団し、01年は最多勝に輝き、リーグ優勝に貢献。現役時代のさまざまな経験を生かし、チームをサポートしている。

 藤井さんは現役時代に4球団を渡り歩いた。ヤクルト、日本ハム、巨人、DeNAで計15年間プレーし、引退後は15~19年に巨人で打撃投手。20年からはDeNAで打撃投手と広報を兼務している。

 DeNAの裏方は、二つの仕事を兼務することが必須。藤井さんは「もう1段階挑戦しようと思い、もし野球が終わっても世界が広がる」と、打撃投手と広報の“二足のわらじ”を選択した。

 広報としては、主に球団公式Twitterで撮影から編集、投稿までを担当。「多くの選手を知っていただけるように心掛けています」。DeNAは若手が多い。彼らの認知度を上げるために、露出を増やすことに重点を置く。「野球好き以外の人にも興味を持ってもらえるTwitterにしたい」と意欲的だ。今春キャンプは無観客で、来場できないファンのためにも選手たちを追い続けている。

 藤井さんはもう一つの仕事である打撃投手を「天職」と言う。言い切れる背景には、現役時代の苦しい経験がある。今治西高、早大時代に「左肘内側側副靱帯(じんたい)」を損傷した。

 プロ入り後も03年に違和感を覚えた。四つの病院を回った結果、全てで「手術が必要」と言われた。開幕後、初めての手術に踏み切った。

 140キロ台後半だった直球は術後、140キロを切った。手術前の変化球はカーブだけ。当時の正捕手・古田(現野球評論家)から「カーブだけでは通用しない」と言われたことでモデルチェンジを決断した。後輩左腕の石川たちに質問攻め。ボールに指で握る位置を書き、感触を確かめながら変化球を覚えた。

 結果、04年以降も10年間、現役を続けられた。だからこそ、今は打撃投手として、何よりも「投げること」に生きがいを感じる。

 逆指名でヤクルトに入団し、手術を経て日本ハムへトレード。そこから巨人へFA移籍し、村田修一の人的補償で巨人からDeNAへ。最後は自由契約…。貴重な経験を積んだ。酸いも甘いも味わった現役時代の財産は、広報にも打撃投手にも生きている。藤井さんはあらゆる形で選手をサポートしていく。

 ◆藤井秀悟(ふじい・しゅうご)1977年5月12日生まれ、43歳。愛媛県出身。現役時代は左投げ左打ちの投手。今治西から早大を経て、99年度ドラフト2位でヤクルト入団。2008年以降は日本ハム、巨人、DeNAを渡り歩き、14年現役引退。最多勝・ベストナイン(いずれも01年)。15~19年は巨人打撃投手。20年からDeNA球団広報兼打撃投手。

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