オリックス【きょうは何の日】1990年、秘策!三重盗で天敵・野茂崩し

 「近鉄5-5オリックス」(1990年9月11日、藤井寺球場)

 これが野茂崩しの秘策だった。

 4月29日の対戦で17三振を喫して以来、すっかり“野茂アレルギー”になってしまったオリックス。6度目の対戦でようやく、ひと泡吹かせることに成功した。

 それもプロ野球6年ぶり、球団初という奇策、三重盗だ。

 1点を追う七回2死二塁から4連続四死球で逆転。なおも満塁で佐藤和弘。塁上には三走・弓岡敬二郎、二走・福良淳一、一走・松永浩美と足のスペシャリストがそろっている。2ストライクとなったところで、野茂英雄はワインドアップに入った。投球はボール。このとき弓岡はひらめいた。

 「これはいける!」

 4球目、野茂が大きく振りかぶったところで、「今だ!」とスタートを切った。

 「あっ!」と気づいた野茂が慌てて外に外すが、山下和彦のミットに届いたときには、韋駄天・弓岡の足はベースに滑り込んでいた。もちろん、後ろの俊足2人も次の塁に達していた。

 弓岡は「サインじゃないよ。ワインドアップになっても三塁はノーマークだったしね。ベンチからもいけ!いけ!って言ってたから」としてやったりの表情。

 野茂にはこの試合も11三振を奪われたが7回5失点で初めてKO。だが、投手陣がこのリードを守れず延長十回引き分けに終わった。

 佐藤和弘はのちのパンチ佐藤。

 当日のスタメンは次の通り。

(5)松永浩美

(3)佐藤和弘

(D)門田博光

(7)石嶺和彦

(9)藤井康雄

(8)※吉田直喜

(8)熊野輝光

(2)中嶋 聡

(6)小川博文

(4)福良淳一

(P)伊藤敦規

※は偵察メンバー

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