「練習試合、中日３－４ＤｅＮＡ」（１３日・ナゴヤドーム）

　四回、２死走者なし。フルカウントから中日・山本が投じた渾身（こんしん）の１球が、ピシャリと音を立てて捕手のミットに収まった。ＤｅＮＡ・オースティンを空振り三振に仕留めると、静寂に包まれた本拠地に「シャー！！」との雄たけびがこだました。

　「状態のいいバッターなので意識して抑えようとしたのと、味方が点を取ったあとの回。それを意識してできたのでよかったです」

　前回登板した６日の西武戦（メットライフドーム）では三回までに３点の援護をもらった。ただ四回に２本塁打を含む４安打を集中されて４失点。逆転を許してマウンドを降りていた。

　「先発投手は試合の流れを見ながら投げるのが大事」。西武戦後、阿波野投手コーチにそう声を掛けられて臨んだこの試合。三回裏に味方が３点を先制すると直後の四回表が勝負どころと思ってマウンドに上がった。ピンチを切り抜けたわけでなくても、スコアボードに「０」を並べられたことで思わず声が漏れた。予定されていた５回を投げ、走者を１人も出さない完璧な投球だった。

　自身初の開幕ローテ入りははっきりと見えている。開幕２戦目となる２０日のヤクルト戦（神宮）での先発が濃厚だ。与田監督は十分ローテを任させられるかと問われると「まだ十分ではないですけど」と前置きしながら「これからそういう投手に育てていかなきゃいけないですね」と大きな期待を寄せた。小さな右腕の成長が、竜の勝利へとつながっていく。