巨人・脇谷亮太 阪神戦落球「いつか話さなければ」最後は感謝

2011年4月20日の阪神-巨人戦の7回、脇谷はブラゼルの飛球を落球し、微妙なタイミングで捕り直す=甲子園
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 【第2の人生へプレーボール】

 30年間の野球人生に別れを告げた脇谷の表情は晴れやかだった。「(小2から)今年で30年目。すごい長いなと思いながらも終わったのかという気持ちが強い」と感慨に浸りつつ「周りの人に恵まれた幸せな野球人生でした」と振り返った。

 堅実な守備、巧みな打撃、そして時折見せる勝負強さが光った。11年に右肘靱帯(じんたい)再建手術を受け育成選手となるも、復活を遂げる。14年に片岡の人的補償で西武へ移籍。高橋前監督の「戻ってこい」との呼びかけで16年からFAで再び古巣に復帰し、チームに貢献した。

 プロ生活を「やりきった」と口にした脇谷。しかし、心残りを一つ抱えていた。11年4月20日の阪神戦(甲子園)。二塁を守っていた脇谷はブラゼルの飛球をお手玉をしてから捕球。判定はアウトとなった。スタンドからはワンバウンド後にグラブに入ったと声が上がり、映像でもワンバウンドしているように見えた。完全捕球か落球かで波紋を呼んだ。

 落球と認識していた脇谷は、その後の7年間「いつか話さなければ」と話していた。10月6日のファーム日本選手権。自身の“引退試合”の相手は、巡り合わせかのように阪神だった。代打で登場し、結果は一ゴロ。G党だけでなく虎党からも温かい拍手が送られ、脇谷は真っ先に阪神ファンのいる右翼席へ深々と一礼した。感謝の表れだった。

 「甲子園での一件。プロ野球ファンを行動で悲しませることをしてしまった。それでも阪神ファンの方が応援してくれた。最後にできてよかった」

 来季からは球団のスカウトへ転身し、次代を担うスターの発掘を目指す。「(最後にセレモニーなどで)『引退』を迎えられる選手は少なくなっている。僕よりも若い選手がチームを離れるようになっているのはさみしい」と脇谷は語る。厳しい勝負の世界。一人でも多く息の長い選手になってほしい-。待ち受ける第2の人生。若き才能に目を光らせる日々が始まる。

 ◆脇谷亮太(わきや・りょうた)1981年11月4日生まれ、37歳。大分県出身。177センチ、77キロ。右投げ左打ち。内野手。柳ケ浦から日本文理大、NTT西日本を経て、2005年度大学生・社会人ドラフト5巡目で巨人入団。06年6月4日・西武戦(東京ドーム)でプロ初出場初先発(7番・三塁)。12年は育成契約となり、13年支配下復帰。14年にFA人的補償で西武移籍。16年にFAで巨人復帰。通算成績は850試合521安打18本塁打159打点、打率・255。

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