花咲徳栄・野村 自らの苦投救った通算57号&ダメ押し打

 「第100回全国高校野球選手権・1回戦、花咲徳栄8-5鳴門」(8日、甲子園球場)

 昨年王者の花咲徳栄は今秋ドラフト候補の野村佑希投手(3年)が投打で引っ張り初戦突破した。

 日本一の4番が、大黒柱になって真夏の聖地に戻ってきた。149球目、こん身の直球で最後の打者を見逃し三振に仕留めた花咲徳栄・野村が雄たけびを上げた。「本当にホッとした、のひと言です」。苦しい初戦を乗り越えた安ど感がにじんだ。

 初めて立つ甲子園のマウンド。昨年は一塁を守っていた。「去年とは全然違う緊張感、責任感があった」と二回までに4失点した。悪い流れを止めたのは北埼玉大会では出なかった自身のアーチ。四回先頭で変化球を捉える高校通算57号ソロを左翼席に運び「自分の中で楽になった」と落ち着きを取り戻した。

 唯一の昨夏レギュラー。主砲、エースに加え、今春までは主将の肩書も背負った時期もあった。苦しい時に支えになるのは、かけがえのない経験値。「甲子園は点を取られる場所」と緩急をつけた投球に切り替えて粘ると、八回は味方の集中打で逆転。九回は自身も中堅に適時二塁打を放ってダメ押しした。

 2安打3打点&5失点完投。あらためて能力の高さと成長を示した。日本ハム・今成スカウトは「強引な飛ばし方じゃない。魅力は右打者ではアマNo.1」と言い切った。「甲子園の1勝はとても難しい。ずっと甲子園の成績はよかったので、自信を持って臨めた」と野村。重圧という“聖地の魔物”にも打ち勝ち、花咲徳栄が連覇への一歩を踏み出した。

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