三本松旋風!人口3万人“東かがわの星”が“公立の星”へ…東京の雄撃破で初8強

 「全国高校野球選手権・3回戦、三本松5-2二松学舎大付」(18日、甲子園球場)

 3回戦4試合が行われ、三本松(香川)が二松学舎大付(東東京)を5-2で下し、春夏4度目の甲子園で初、香川勢として15年ぶりの8強入りを決めた。打線が13安打を放ち、7犠打を決める堅実な攻撃で5点を奪取。エース・佐藤圭悟投手(3年)は11安打を許しながらも2失点で抑え、わずか87球で完投した。三本松は準々決勝で東海大菅生(西東京)と対戦する。

 ホームランが乱れ飛ぶ聖地で、三本松の“スモールベースボール”が大観衆を魅了した。13安打で7犠打を決め、二松学舎大付を撃破。3回戦に進んだ唯一の公立校が、春夏通じ甲子園で初の8強入りを果たした。

 「相手にプレッシャーを与えるために、得点圏に走者を置くことを選択しました」と、日下広太監督(33)が冷静に語る。

 五回に先頭の1番・大久保祥吾外野手(2年)が右翼線二塁打を放つと、2番・多田祐汰内野手(3年)が送りバント成功。1死三塁とし、3番のエース・佐藤がスクイズを決めて先制点を奪った。続く六回にも、二塁打で出塁した主将の6番・渡辺裕貴捕手(3年)を送りバントで進め、8番・下地海誠内野手(2年)の右前適時打で1点を追加。一度も失敗なく走者を送り、主導権を握り続けた。

 同校OBの日下監督は、順大卒業後に独立リーグのBC・石川と新潟で4年間プレーした経験を持つ。15年8月に母校の監督に就任すると「バントができない選手は打席に入れない」とナインに口酸っぱく言い続けてきた。

 冬場は「バント紅白戦」で腕を磨いた。バントだけで争う5イニングの試合。無死一塁から始め、送りバントやバントエンドラン、スクイズ、盗塁などを駆使して攻撃する。次打者がサインを出すため、選手の戦術眼も向上。この日、送りバントを3度成功させた多田は「フォア・ザ・チームの仕事ができた」と満足顔だ。

 堅実な攻撃だけではなく、わずか87球で完投した佐藤の巧みな投球や、4併殺を奪った堅実な守備も光った。これまで春夏3度の甲子園で1勝もできなかったチームが、今大会2つ目の白星。香川県勢としては02年の尽誠学園以来、15年ぶりの8強入りだ。

 学校のある東かがわ市は人口約3万人。地元の熱い声援を背に、渡辺主将は「他の公立校の分も、という気持ちで食らい付きたい」と誓った。野球の魅力は豪快なアーチだけじゃない。小技が光る“公立の星”が、聖地に旋風を巻き起こす。

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