報徳学園“21ずくめ”の大勝 ナイン一丸!監督に1日でも長く野球を

 「選抜高校野球・1回戦、報徳学園21-0多治見」(20日、甲子園球場)

 1回戦3試合が行われ、第2試合は今大会を最後に退任する永田裕治監督(53)率いる報徳学園(兵庫)が、同校甲子園最多得点となる21安打21点の大勝で多治見を下した。21度目のセンバツで、21世紀枠・多治見を破り、永田監督は甲子園で春夏通算21勝目。くしくも「21」が五つ並んだ初戦突破となった。

 奇跡の前触れなのか。“21ずくめ”の歴史的大勝。永田監督にとって最後の甲子園は、華々しく幕を開けた。

 「最高ですね。生徒が頑張った。感謝したい。泣いたらあかんと思いながら、思い切り校歌を歌いましたよ」。報徳学園にとっては節目のセンバツ30勝目でもあり、忘れられない勝利となった。

 最後の教え子たちを信じた。多治見のエースは横手投げ右腕・河地。対策を練ってきたが、17日に方針変更。「思い切って選手に任せた。昨日は『思い切って緊張しなさい。53歳になっても(甲子園は)緊張する。人生で経験できないことを肌で感じなさい』と言った」。一塁ベンチでは最も右翼寄りに立って腕を組み、選手たちの姿を目に焼き付けた。

 選手の思いは一つ。永田監督と一日でも長く野球を-。永山裕真外野手(3年)が、全員の思いを体現した。

 初回1死から右前打を放ち、二盗も決めて片岡心内野手(3年)の中前打で先制のホームイン。打者12人で8点を奪った三回も2安打を放ち、大会記録(6安打)に迫る1試合5安打と大暴れした。

 「監督が僕に自信をつけさせてくれた。エンドランを失敗してもサインを出し続けてくれたりしたので」。これまでの感謝をプレーに込めた。

叱咤

 7回無失点の先発・西垣雅矢投手(3年)も指揮官の期待に応えた。忘れられない言葉がある。昨年8月の練習試合・大阪偕星戦。好投しながら終盤に同点とされると、永田監督に胸のマークをつかまれ、怒鳴られた。

 「どこのエースや?どこのユニホームを着て投げとるんや!!」。伝統校のエースを担う責任を痛感。練習への意識が変わった。

 教え子の思いが結実した21安打21点での完封勝利。「弱い」と評したチームは、一冬を越えて大きな成長の跡を見せた。永田監督の最後の春はまだまだ終わりそうにない。

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