大谷東北でプロ1号76戦目「遅かった」

 「楽天1-4日本ハム」(10日、K宮城)

 日本ハムのドラフト1位ルーキー、大谷翔平投手(19)=花巻東=が10日、楽天10回戦(Kスタ宮城)に「7番・右翼」で出場し、四回にプロ初本塁打となる2ランを放った。大谷は投手としてすでに2勝を挙げており、投手と野手で出場した高卒新人で本塁打は初の快挙となった。

 生まれ育った東北に、1本目のアーチをかけた。二刀流ルーキーの大谷が、プロ初本塁打。1点リードの四回1死三塁、永井の3球目を右翼席中段へ放り込んだ。感触を問われ「最高でした」と納得のひと言。母校・花巻東にも近い東北の球場での一発に「東北で打てて良かったですし、Kスタでやるのは初めてでした。本当に思い出に残りました」と汗を光らせた。

 打った瞬間だった。打者として34試合目、92打席目。138キロの直球を、全身を使ってはじき返した。「小谷野さんがつないでくれて、外野フライでもいいという気持ちで入りました。たまたま行ってくれた。良かったです」。日本ハムファンの待つ右翼席だけでなく、東北という地元ファンの声援も交じり、この日一番の盛り上がりを見せた。

 投手との両立を継続させ、ここまで来ている。チーム76試合目での1号に「遅かったとも思いますし、もっともっと打ってチームを助けたかった」と自分への不満も口にしたが、同時に手応えもつかんだ。「一発があるとないでは怖さが違う。長打があるというのもわかれば、データも変わってくると思う」。投手目線で、打者・大谷を見た時、警戒すべきポイントに本塁打が加わった。収穫を得て、うなずいた。

 見守った栗山監督も「遅かったねえ」と大谷のコメントに重ねた。「本人には、本塁打が見たいとずいぶん前から言ってたんだけどね」と笑いながら「ただ、あれだけ普通に打てば完ぺきに飛距離が出る。ここからだと思います」と、19歳の可能性に太鼓判を押した。

 岩手で生まれ育った大谷だが、Kスタ宮城に来たことも、この日が初めてだったという。「いい結果になってくれて良かった」。ウイニングボールはもちろんゲット。チームを貯金生活に導いた。投手としても野手としても、進化を続ける19歳。まだまだ、2本の刀の切れ味は鋭さを増す。

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