007の入れ替え

 【6月14日】

 甲子園のバックネット裏に見慣れた顔が集まってきた。交流戦も佳境を迎え、スコアラー陣もセ・パ入れ替えの時期になった。パの偵察部隊と顔を合わせるのは基本的に5、6月のみ。セの007とはキャンプから顔なじみになるので、虎番記者と阪神担当のスコアラー陣は自然と会話が生まれる。

 この夜、久々に広島スコアラーの玉山健太に会った。西武戦を偵察する彼の目つきは真剣だ。それも、そのはず。週末に交流戦を終えると、4日間のブレークを挟んで来週金曜日からC-T首位攻防(マツダスタジアム)が始まる。

 「僕は昨日からまた阪神さんを見させてもらっています。ウチに誰が(先発で)きますかね…」

 リーグ戦再開で当たる阪神戦に向け、玉山はこの西武3連戦の分析に余念がない。特にこの夜先発した能見篤史、3戦目に投げるランディ・メッセンジャーの状態を見極める作業には力が入る。つまり、来週末の広島戦にこの2人が投げると踏んでいるからだ。

 金本知憲はこの日、秋山の出場選手登録を抹消した。最短の再登録は今月24日だから、秋山が広島との初戦(23日)に先発する可能性はなくなった。玉山の想定通り間違いなく金本はランディ・メッセンジャーに広島初戦のマウンドを託すはずである。玉山が悩むのはその後。前夜6勝目を上げた秋山拓巳がどこで投げるのか。予告先発があるとはいえ、やはり各球団のスコアラーは情報戦に神経を費やしている。玉山とともに頭を悩ませるのが、並んで西武戦を見ていた中日スコアラーの佐藤秀樹だ。阪神のリーグ戦再開2カード目は再来週火曜からの中日戦(ナゴヤドーム)。玉山も佐藤も「金本監督は秋山をどこで起用するのだろう」とかなり気にしていた。

 阪神は60試合を終えた。金本の監督通算100勝はお預けになったけれど、個人的には関心がない(おそらく本人が一番ない)。ここにきて、もっぱら興味が向くのは同一リーグ戦に向けたシミュレーション。あくまで僕の予想だけれど、交流戦でパに3戦3勝した秋山にはこれまで通り週アタマの火曜を任せる。つまり、広島3連戦はメッセ、能見、そして岩貞祐太。あくまで予想だが…。

 「やっぱり気になるのは、今年まだ対戦のない秋山投手。やっぱり嫌ですよ、どんどん投げてこられる投手というのは…。ウチの打者は以前のイメージがある。まずはそのイメージを変えてもらうことが大事。能見投手とは、今年もう3度対戦していますから。能見投手が今年抑えている右打者の…あ、あまり言わないでおきます。新井さんに怒られますので…」

 そう話す玉山は交流戦期間中、日本ハムの偵察を担当し、札幌ドームで見事3タテに成功。緒方孝市から労われたそうだ。「監督から感謝されると、すごくやりがいを感じます」。カープは現場、裏方が一枚岩で、「チーム全体の雰囲気はすごくいい」という。

 中盤戦のヤマ、鯉との直接対決を前に、虎は交流戦残り4試合をいい形で締めたい。=敬称略=

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