阪神・近本が語った「野球を楽しむ」極意 野球選手は「仕事」じゃない 子供に勇気、元気与えること

「野球を楽しむ」を今季のテーマに掲げた近本
宣野座キャンプ中の野球教室で、子どもたちと交流
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 阪神の近本光司外野手(31)がデイリースポーツ読者に向け綴るコラム「余韻」。2026年の第1回はシーズン開幕を目前に、今季テーマにする「野球を楽しむ」極意を語る。“チカ・マインド”にあるのは職業「プロ野球選手」という責任、使命。「青春」の2文字をキーワードに野球少年や少女、多くのファンに元気、勇気を届ける活躍を誓う。また初球打ちにヒントを得た2、3月の実戦についても解説した。

 近本は取得した国内FA権を行使せず、5年総額25億円(推定)で残留を決めた。心機一転で迎えた一年。2月のキャンプ、3月のオープン戦と常に柔和な表情が印象的だった。

 「オフから取り組んできたことが、ある程度できるようになったり、体の状態もよく、いい状態でプレーできている。いろんなところで余裕ができているのかなというのはありますね。でも、それがシーズンに入ったら、いい方向にいくのかどうかはまだ分からない。現状では、まあまあ…くらいですね」

 ここで言うオフの取り組みとは走り込み強化を指す。「長く野球を」「長く走れる体を」とランニング量を増やした。今までにない挑戦だった。

 「走っていたから守備でも打撃でも、トレーニングもそうですけど、一気にスピードを上げることの負担がなかった。自然とそのスピード、試合のスピードに入っていけます。一気に心拍数が上がると、すごく体にストレスがかかる。筋肉が急激に収縮をすると疲労が残りやすくなったり、硬くなったりするので。自分の体を自分が動かしたいように動かせているという感じです。その分、全体的な消費カロリーも高いので、いい傾向ではあるのかなと思っています」

 8年目。球団の枠を超え、球界の顔として名が知られるようになった。今季7度目の盗塁王獲得ならセ・リーグ史上最多。新人から8年連続の130安打や、球団最長となる6年連続のベストナイン受賞。グラウンドに立てば当然のように活躍が求められる。期待を背負う重圧や、数字と戦う日々。近本は「楽しむ」を今季のテーマにした。

 「僕の職業はプロ野球選手ですけど、プロ野球選手が仕事ではないと思っています。肩書がプロ野球選手で、仕事は子供たちに元気を届けたり、勇気を与えたりすることだと。自分が楽しくプレーしている姿や、甲子園のグラウンドを走り回っているところを見てもらいたい。そこが少し変わってきたのかなと思いますね。僕にはライスワークとして野球というのがありますし、ライフワークとしてリンクアップ(※)の活動もある」

 今年11月には32歳になる。「30歳手前くらいですかね。そうやって分けられるようになったのは」と優しく笑う。夢を届け、希望を担う職業。近本が考える「楽しむ」ことは、グラウンドで笑ったり、はしゃぐ姿を見せることとは一線を画す。

 「山があったほうが面白いんですよ。いい時期と悪い時期があって、悪い時期がないと新しいものが見えてこない。谷に落ちた時に、どう現状を打破するか。試行錯誤してどうイメージ通り動かしていくのか。そのきっかけが欲しい。そこが一番楽しいのに、谷がなかったらそれはないでしょ。正解、不正解はあまり気にしなくてもいい。それ自体も楽しんでいるのかなと思いますね」

 言葉や行動から思考をひもといていくと、プロフェッショナルな姿に「職人」「求道者」などを連想させる。ただ、そんなたたずまいでいながら、人間的な部分を隠さないのがチームメートやスタッフ、ファンから愛される理由なのかもしれない。開幕の話題に触れた時だ。

 「開幕でベストな状態に持っていくつもりはあまりないです。大事なのは夏場。そこにしっかり合わせられるようにと思っています。ただ、開幕して1カ月くらいは、ある程度の安定した数字は欲しいなと。精神安定剤としてです。2割5分以上、3割未満くらい…数字がまず入ればいいかなと思いますね」

 変化を楽しみ、背負う期待や重圧も楽しむと決めた。秋にどんな景色が待っているだろう。近本の新たな一年が始まる。

 ※…近本が2024年2月に設立した一般社団法人「LINKUP」。近本自身も理事を務め、離島支援や地方創生活動に注力している。

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