阪神・近本4打点 「聖也が決めてくれていたので」満塁一掃ダメ押し打 首位打者には「あと2カ月も(笑)」

 「阪神6-2ヤクルト」(9日、京セラドーム大阪)

 緊迫したここまでの空気を切り裂くように、阪神・近本光司外野手(30)はバットを振り抜いた。勝利をぐっとたぐり寄せた一打に虎党はお祭り騒ぎだ。木浪が押し出し四球で勝ち越し、なおも2死満塁の好機。

 「(木浪)聖也がその前に決めてくれていたので、気持ち楽に。何とかなるだろうと思っていました」

 松本健とは初対戦で球の軌道も分からなかったが、「とにかくそのボールに対応することが大事」と冷静だった。追い込まれてからカーブにうまく合わせ、打球は右中間を割った。「いい感じに力が抜けました」。走者一掃の適時三塁打にも塁上ではいつものポーカーフェース。「八回で決められたのでよかった」。2試合連続の延長戦もよぎる中での大きな一打だった。

 いつも落ち着いている近本だが、「今年はすごく不安が強い」と漏らしたことがあった。毎シーズン4月の1カ月が終われば打撃の方向性が決まる。ただ、今年は6月になってもそれが見えてこなかったという。

 「やばいな」と思いながら過ごす日々。しかしその中でふと気がついた。「毎日、自分の状態、相手のピッチャーを見て、どうアプローチしていくかっていうところがテーマなんじゃないかなと思って」。何か一つにテーマを絞らず、毎試合、毎打席で対応していくのが今年のテーマと考えた。だからこそ、「毎日わからないよ、しんどいよ」と不安も強い。そんな中でも日々試行錯誤して結果を残し続けている。

 初回先頭では得点につながる左翼への二塁打を記録。二回1死二、三塁では遊ゴロで打点を挙げ、今季初の4打点をマーク。打率・292とし、首位打者となっている。ただ、タイトル争いには「あと2カ月もあるんですか」と笑い、「最後の試合が終わるまで気にしたところで何も変わらないから。今やることはどのタイミングでも一緒かな」と淡々と話した。お立ち台でも近本らしさ全開だ。「今日は九回で試合が終わったのでしっかり休んで明日も頑張ります!」。虎のリードオフマンはまだまだ快音を響かせ続ける。

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