【糸井嘉男氏の眼】阪神・佐藤輝の打席内容に見える精神的な成長 大胆采配を可能にする「4番の存在感」
「阪神1-3ヤクルト」(8日、京セラドーム大阪)
阪神・佐藤輝明内野手(26)が、四回に右翼席に30号ソロ弾を放った。2戦連続の一発で、入団5年目で自身初のシーズン30本に到達した主砲についてデイリースポーツ評論家・糸井嘉男氏(44)は「価値ある打席が多い」と指摘した。
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グラウンドに立つ選手は攻守で流れを感じます。今年の輝は数字上でも十分な成績ですが、それ以上に「価値ある打席」が多いです。言葉で表現するのは難しいですが、四回の本塁打が象徴的な1本でしょう。何度か技術的な変化に触れてきましたが、打席内容には精神的な成長が見えます。
第1打席は初球に2球目と、打ちにいって三飛に倒れました。2打席目は際どいコースをじっくりと見送り、3-1から少し浮いたフォークを完璧に捉えました。数字以上に「ここで打つのか」という打席が多い。これは野手なら分かるすごさで、相手からすれば肌で感じる怖さなんです。
この本塁打も中川選手が併殺に倒れた直後。データでも今季は4打席目に10本塁打など、試合終盤の一発が勝敗を決めています。野手として価値を最高に上げている結果と言えます。
藤川監督がこの日、森下選手をスタメンから外しました。前日7日の中日戦は大山選手がベンチスタート。斬新で、球児さんならではの起用法だと思います。
ただ動くだけではなく本当に、チームがいい流れになる。不思議な力を感じますが、その大胆な采配を可能にさせるのは、前後に入る打者の力…特に4番の存在感だと言えます。グラウンドで戦う選手は毎試合、出たいと思っているはずですが、見えない疲れは絶対にある。リーダーとして決断がチームをいい方向に進めていると考えます。
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