阪神・佐藤輝「最高の結果になって良かった」吠えた!延長V撃 一夜で再点灯「M36」夏のロード快勝発進

 「ヤクルト2-3阪神」(1日、神宮球場)

 藤川監督も、ナインも吠えた。阪神の佐藤輝明内野手(26)が延長十回に決勝の適時二塁打。九回に守護神・岩崎が同点を許した嫌な流れを払拭し、勝利へ導いた4番も珍しく雄たけびを上げた。苦しみながらも接戦を制して、再び優勝へのマジック36が点灯。長期ロード初戦で、2年ぶりのリーグ優勝へ弾みをつけた。

 白球がグラウンドに落ちると、一瞬の静寂に包まれた球場が大歓声に変わった。二塁に到達した佐藤輝は大きく吠(ほ)えた。何度も手をたたき、ベンチへ向かって両手を挙げた。

 「チカさん(先頭の近本)がヒットで出た瞬間、もうチャンスで回ってくると思ってたんで、心の準備もできてました。最高の結果になって良かった」

 1点リード九回。守護神の岩崎が同点を許してしまう。その直後の延長十回だった。2死二塁で打席へ。今季は同様の場面で敬遠されるケースも多かったが、ヤクルトバッテリーは勝負を選択してきた。「向こうも勝負しにきてるってことなんで、負けるつもりはなかった」と、燃え上がっていた。

 直球を捉えきれず、カウント1-2と追い込まれたが、最後は頭にあったという外角低めのフォークをうまく拾った。「抜けてくれ」と願った打球は、右翼後方へのライナー。懸命に腕を伸ばした右翼手のグラブをはじいた。二塁上では珍しく声も出し、感情をあらわにした。「そりゃそうでしょ!」と自然と出た熱い思いだった。

 ラッキーアイテムが決勝打を生んだ。この日、佐藤輝はヘルメットを忘れていた。試合前の打撃練習では、コーチ仕様の耳あてがない形状のもので打ち込んでいた。試合が始まると、後頭部に刻まれている数字は53。島田から借りたものを全打席で使っていた。

 この件については照れくさそうに口元に人さし指を立て、足早に球場を後にした。貸した島田は「今日はずっと(ヘルメットを)貸してました。貸して打ってくれたので、良かったです」と笑顔で話した。

 熱戦となった長期ロード初戦を制すると、試合終了の瞬間も雄たけびを上げた。これで7月31日に消滅していたマジックが、一夜にして36と数字を減らし再点灯。「このまま最後まで突っ走りたいと思います」と、ヒーローインタビューではファンへ力強く宣言。爆音の「テル」コールが球場に鳴り響いた。

 再び始まった優勝へのカウントダウン。頼れる4番が歓喜の瞬間まで、チームを引っ張っていく。

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