阪神・桐敷 凱旋1回0封 第二の故郷、新潟「貴重な、特別な時間」 「きりしきぃ~!!」少年少女の声援胸に響いた

 「DeNA1-1阪神」(13日、ハードオフエコスタジアム新潟)

 阪神の「ピッチャー、桐敷」のアナウンスにスタンドが沸いた。2万1211人が埋めた球場。きれいに二分されたファンが、敵味方に関係なく拍手を注ぐ。小走りでマウンドに上がった左腕は「特別な時間」をかみしめるように息を吐いた。汗と涙が染み込んだ場所。プロ入り後初の凱旋登板で、ただいまの11球だ。

 「楽しかった、良かったです。多くの人が声援を送ってくれた。やっぱりうれしかったですね」

 出番は1点を追う八回、相手は2番からの上位打線。「野球には流れがある」と話す左腕は無得点だった攻撃に、弾みを付けるようハイテンポの投球を見せる。先頭の牧には三塁線に鋭いライナーを浴びたが、この打球を佐藤輝がダイビングキャッチ。味方の好捕で先頭を斬ると、度会はスライダーで二ゴロに抑えた。

 最速153キロ。目いっぱいの全力投球で2死を取ると、4番・オースティンにも真っ向勝負を挑む。直球、フォーク、フォーク、直球で追い込むと2-2から5球目。内角高めの148キロに手すら出させず、見逃し三振。流れをグイッと引き寄せた。直後の九回2死から高寺が同点アーチ。リズムを意識した桐敷の11球が見せ場を演出した。

 「貴重な、特別な時間だと思いました」。埼玉県鴻巣市出身の左腕は、本庄東高を経て新潟医療福祉大に進んだ。オープン戦、公式戦で何度も上がったマウンド。野球教室などで新潟の子どもたちに触れながら、プロで活躍すると思いを強くした場所でもある。「きりしきぃ~!!」と叫ぶ野球少年少女の声援が胸に響く。“約束”の場所だ。

 「新潟にすごくお世話になった。小さな子どもたちに、少しでも名前を覚えてもらえるようにというのも、プロに入った上で一つの思いでもありました」。これで登板9試合連続無失点、防御率は0・64と今季も安定感が光る。石井、及川、岩崎、湯浅と鉄壁リリーフでつないだ無失点リレー。歓声が心地よい。特別な時間を過ごした左腕が第二の故郷で夢をかなえた。

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