阪神・佐藤輝 両リーグ最速10号「いいスイングができた」新人5年連続2桁到達 3戦連続打点&2戦連続マルチ
「中日3-2阪神」(1日、バンテリンドーム)
敗戦の中、絶好調の男が新たな歴史を刻んだ。阪神・佐藤輝明内野手(26)が五回、両リーグ10号一番乗りとなる左越え10号ソロ。阪神の左打者で、両リーグ最速の10号到達は球団史上初の快挙となった。チームは中日に競り負けて今季初の同一カード3連敗、今季ワーストの4連敗を喫した。2日からは甲子園でヤクルト3連戦。4番のバットに期待がかかる。
これも放り込んでしまうのか。広いバンテリンドームで、しかも左翼への一発。佐藤輝が両リーグ最速の10号を驚愕(きょうがく)の一撃で決めた。「いいスイングができたと思います」。一時は同点のアーチに虎党を狂喜乱舞させる。敗れはしたが、球団史に新たな1ページを刻んだ。
逆転された直後の五回2死。三浦の142キロ外角直球を逆らわずにはじき返した。豪快に振り抜くと、打球はグングン伸びる。フェンスを越えるとは思わなかった。マウンドの左腕もあぜんとし、一塁ベンチの井上監督も悔しそうに歯を食いしばる。万人が驚く中、佐藤輝だけは平然と軽い足取りでダイヤモンドを一周していた。
4月は月間自己最多の8本塁打を記録。絶好調で5月に突入した。昨季は本塁打なし。ただ、今年は違う。皐月(さつき)に入っても、勢いは加速した。九回2死一塁でも意地の中前打。「それも良かったんじゃないですか」。今季2度目の3試合連続打点に、今季4度目の2試合連続複数安打。巨人の岡本が8号ソロを放ったが、本塁打&打点の2冠もキープした。
阪神で両リーグ最速の10号を打ったのは06年の浜中治以来、19年ぶり。それ以前も藤村富美男、田淵幸一、岡田彰布と偉大なレジェンドが達成してきた。そして、佐藤輝明は左打者で球団初の快挙。あの掛布雅之もランディ・バースも、金本知憲でもできなかったことをやってのけた。
これで新人から5年連続での2桁本塁打にも到達。これも、岡田と田淵に続く快記録だ。甲子園にラッキーゾーンの設置を求め、名古屋に乗り込む前にも「もう(ホームラン)テラスってついてましたっけ?」とおどけたが、もう必要性を感じさせない。今の佐藤輝なら、誰からでも、どんな悪条件でもスタンドインできる。
阪神で過去に両リーグ最速の10号を放ち、本塁打王になった選手はいない。でも、それは過去のこと。球団の左打者で初めてのことを成し遂げたではないか。「まだ先は長いんで頑張ります」。チームは今季初の4連敗を喫した。この雰囲気を変えられるのも佐藤輝しかいない。この男なら、不可能と思えることを可能にしてくれる。
◆過去5年の両リーグ最速10号と本塁打王 過去5シーズンで、同日に到達した例(2023年は3人、24年は2人)を含めて本塁打王のタイトルを獲得した選手は8人中5人。過去5年の両リーグ最速10号は以下の通り(☆が本塁打王、試合はチーム試合数)。20年7月15日=☆浅村栄斗(楽天・22試合)。21年4月27日=☆村上宗隆(ヤクルト・26試合)。22年4月29日=岡本和真(巨人・27試合)。23年5月30日=万波中正(日本ハム・49試合)、☆浅村栄斗(楽天・45試合)、牧秀悟(DeNA・45試合)。24年5月17日=☆村上宗隆(ヤクルト・38試合)、☆山川穂高(ソフトバンク・37試合)。
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