「阪神６－２巨人」（２６日、甲子園球場）

　巨人が２度のリードを守り切れず、最後は失策をきっかけに大量失点。今季の阪神戦は５戦全敗となった。デイリースポーツ評論家の藤田平氏は「波に乗っているチームとそうではない停滞気味のチームとの差が出た試合」とズバリ。両チームの現状がそのまま結果になって表れたという。

　波に乗っているチームと停滞気味のチームとの差を感じる試合だった。阪神にはツキも味方につける余裕があったし、故障者や不調者が多く万全ではない巨人には窮屈で重たい雰囲気があった。

　（試合展開は初回、巨人が岡本の中犠飛で先制するとその裏、阪神は佐藤輝の右中間二塁打で同点。四回、巨人が再びリードを広げると阪神は五回、代打・渡辺の中前適時打で追いつき、八回には大山、坂本の二塁打などで決定的な４点を奪った）

　巨人は五回２死満塁で吉川の放った右中間への大きな飛球が風に戻され森下に捕球された。普通ならフェンスまで届くような当たり。これは巨人にツキがなかった。

　八回１死満塁ではキャベッジが放った痛烈な打球を小幡がダイレクト捕球した。これも守備範囲ギリギリに飛んだことで捕られてしまった。巨人にとっては不運以外の何ものでもない。

　逆に阪神は、この２つのファインプレーで大量失点を未然に防いだわけだが、いずれも紙一重のプレーだったと言っていい。乗っているチームにはツキがあるということだ。

　一方、ベンチワークで最大のポイントとなったのは五回の攻防だったと思う。巨人は四回まで１失点でしのぎ、勝ち投手の権利をもっていた石川に代打を送り、その裏、今年初登板となるグリフィンをマウンドに送った。

　阪神との中継ぎ投手の差を考えて早めの継投に出たのかもしれない。仮にリードを許してしまえば、大勢とマルティネスは宝の持ち腐れとなるからだ。

　ただ、グリフィンという投手は立ち上がりに不安を抱えるタイプ。リリーフならなおさらエンジンを温めるヒマがない。そのあたりを理解していたのか、渡辺がよく打った。昨年までの代打経験を生かした結果ではないかな。

　巨人サイドからすれば先行しても追いつかれる嫌な展開。この重圧から最後まで逃れることができなかったようだ。

　チームが整っていない巨人は代打など控え層が手薄。阪神には抑えの岩崎をベンチから外す余裕があった。両チームの現状をはっきりと物語っていたね。

　しかし、シーズンは始まったばかり。こういう関係がこの先も続くとは思えない。今後、巨人は不完全なチームを組み立てていくはず。阪神としては、今のいい状態をできるだけ崩さないようにしたいところだろう。