阪神・門別 真っ向勝負で主力斬り 中野「前に飛ばなかった」木浪「ファウルにできなかった」三振に驚がく
「阪神紅白戦、白組4-5紅組」(11日、バイトするならエントリー宜野座スタジアム)
期待の若き左腕が、今季初実戦でいきなり魅せた。阪神の門別啓人投手(19)が11日、1、2軍合同の紅白戦で白組の先発として登板。最速148キロの直球を軸にして、2回3安打1失点(自責0)。力強い直球で中野、木浪から空振り三振を奪うなど、1軍の主力選手にも物おじせずに堂々と渡り合った。
糸を引くような直球が捕手のミットに吸い込まれていく。門別が今キャンプ最多1万5000人の観客をくぎ付けにした。「バンッ!」。威力のあるストレートで重低音を響かせる。「真っすぐで自分の投球ができたんじゃないかなと思います」。39球中32球が真っ向勝負。高卒2年目の19歳が強い日差しを受けながら、輝きを放った。
足跡一つないマウンドへ歩を進めた。「すごい力んでしまった」。独特の緊張感、今季初実戦への胸の高鳴り…。多くの感情が渦巻く中、佐藤輝と18・44メートルでの対決が始まった。1ボールからバットをへし折る。しかし、相手のパワーが上回り、中前打を食らった。「抑えたい気持ちが先走っちゃった」。力み倒したことを後悔するように、打球方向を見つめる。ただ、力と力のぶつかり合いとなった注目の対決に、先頭打者から宜野座のボルテージが上がった。
その後、不運な当たりもあって1死一、三塁。ここで4番の中野を迎えた。カウント2-2から2球連続でファウル。フルカウントからは3球も粘られた。ここまでの10球は全て直球。「真っすぐで三振を取れたらいいなと思って、続けました」。迷うことなく、腕を振った。11球目。最後は昨季セ最多安打のバットに空を切らせる。「粘ってたんじゃないです。前に飛ばなかったんです」。選手会長からの“完敗宣言”が空振り三振の価値を高めた。
中野の三振後に失策で1点を失うも、本来の投球が戻ったのは二回だ。近本は遊直。木浪は外角直球で空振り三振に仕留めた。「ファウルにしようとしたけどできなかった」と恐怖の8番打者もお手上げ。ノイジーも捕邪飛で三者凡退と、虎の主力をあっさり料理した。
岡田監督は「想定内やろ。だって、ブルペンでもちゃんと投げとるわけやから」と驚いた様子はない。まだ直球の質は6割程度。キャンプ中盤の疲れもある中での好投が、底知れぬ実力を物語る。今後の実戦では変化球の割合も増えてくる。「駆け引きとかも大事にやっていきたい」。来るとわかっていても打てない直球に変化球が加わるとなれば、またすごみが増すに違いない。
2イニング、打者9人との対戦で自信を得た。「まず5勝だと思うんですけど、5勝って言われると、その上をいきたくなる。10勝したい」。不可能な数字とは思わせない。門別にはそれだけの可能性が広がっている。
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