【岡義朗氏の眼】精神力の強さを感じた阪神・糸原の決勝打

 「阪神タイガース5-1広島東洋カープ」(10日、甲子園球場)

 阪神が八回、代打・糸原健斗内野手(30)の決勝打などで一気に4点を挙げて快勝。2位・広島との3連戦でスイープを決め、マジックを「5」とした。デイリースポーツ評論家・岡義朗氏(69)は「精神力の強さを感じた」と殊勲の糸原を称賛した。

  ◇  ◇

 八回に決勝打を放った糸原に精神力の強さを感じた。

 1-1で迎えた七回。1死満塁と勝ち越しのチャンスが巡り、打順が9番の伊藤将に回った時、糸原は一度、ネクストバッターズサークルに向かった。広島が九里を代えるのかどうか、ベンチ同士の駆け引きもあった中で、最終的に糸原の代打は見送られた。

 あの場面は投手を代えさせるためのダミーの役割もあったと思うし、コーチがどう本人に声をかけていたかは分からないが、モチベーションを高めながら出番がなく、そこからもう一度、次の出番に向けて気持ちを作り直すのは簡単なことではない。

 続く八回2死満塁の場面で代打に立つまでの過程で糸原自身、難しさがあったと思う。そうした部分をみじんも感じさせなかった決勝打に、経験値の高さを感じた。

 七回に伊藤将を代えずに打席に立たせて続投させた阪神と、八回も続投させた九里が打たれた広島。交代のタイミングを巡る判断が明暗を分けた形ともなった。

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