【岡義朗氏の眼】昨季までなかった進化 阪神・井上が見せた「場面に応じた意識の切り替え」

 「阪神6-1広島」(19日、甲子園球場)

 阪神・井上広大外野手(21)が「6番・右翼」でスタメン出場。1安打を放ち勝利に貢献した中で、デイリースポーツ評論家・岡義朗氏(69)はその打席内容を「技術の向上を感じ取れた」と高く評価した。

  ◇  ◇

 状況に応じた意識の切り替え、そして技術の向上を感じ取れた打席だ。今季初スタメンの阪神・井上が追い込まれてから示した五回のチーム打撃に彼の成長が見られる。

 五回無死二塁の場面。犠打も選択肢のひとつにある中、まず井上はフリーで打ちにいく。初球は外寄りのスライダーを見逃してストライク。2球目はインコースの直球を三塁方向へファウルした。

 この2球までの内容なら走者の進塁より、自分の打撃を意識していたことが見て取れる。ところが2ストライクとなって打撃内容を変えた。凡打でも走者を進めようという意識でボールに逆らわない『おっつけの打撃』となり右前打。無死一、三塁として坂本の先制犠飛へつなげた。

 チームのため右方向を強く意識したのだろう。一方で二回と六回は空振り三振。この2打席はともに一塁に走者を置いた状況で自分の打撃に徹してのもの。場面に応じた意識の切り替えは昨季までなかった井上の進化だ。

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