阪神 新体制初キャンプを終えてそれぞれの現在地は?担当記者陣が振り返る

 シートノックでショートを守る木浪(左)と小幡
 打撃でアピールできた井上
 岡田監督が原点と語る安芸の風景の中、最後にランニングする阪神ナイン(撮影・高部洋祐)
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 阪神は21日、高知県安芸市での秋季キャンプを打ち上げた。岡田彰布監督(64)が就任後、初めてのキャンプ。若手主体のメンバーで台頭した投手はいたのか。ミスが課題だった内外野での取り組みや競争の現状は-。阪神担当記者陣が振り返る。

 ◆外野手編

 岡田監督が両翼のレギュラーが白紙と明言した中、秋季キャンプがスタート。序盤のシートノックでの送球は、内野のカットにつなぐことを徹底するなど低く強い送球を反復。終盤は浮いた送球がほとんど見られなくなり、外野守備の意識に変化が見られた。

 若手有望株である井上、前川は打撃でアピールに成功して来春1軍キャンプへの参加を内定させた。板山も岡田監督から「左(打者)で一番いい」と高評価を獲得。高山も指揮官から打撃の直接指導を受ける場面も見られ、来季の復活に期待がかかる。

 一方で豊田、小野寺はチームの補強ポイントである右の外野手でありながら、攻守ともにアピール不足の印象だった。日本ハムからトレードで入団した高浜は左翼守備に挑戦したが、送球の不安定さが露呈した。今季自己最多の123試合に出場した島田も、来春キャンプでアピールが求められる。

 岡田監督はユーティリティー枠を2つ設ける方針を示唆。現時点では内、外野をこなす熊谷、板山、植田を候補に挙げている。新外国人を外野のスタメンで起用した際に、代走から出場して守備固めに入る選手の争いも激しくなりそうだ。

 ◆内野手編

 岡田監督が就任早々に打ち出したのが、一塁・大山、三塁・佐藤輝の全試合固定だった。実際に今キャンプでは、両主砲がシーズン中のように外野守備に就くことはなかった。

 一方で二遊間は激しい競争が繰り広げられた。「2番・二塁」は中野で内定。遊撃からのコンバートにも高い適応能力を示した。当初は正二塁手を狙っていた渡辺諒がキャンプ後半から三塁にも入り、新天地での出場機会をうかがう。

 遊撃は小幡が最有力と見られていたが、木浪の評価が急上昇。岡田監督の目に留まった強肩と打撃で正遊撃手返り咲きへアピールに成功した。どこでも器用にこなす熊谷はユーティリティー枠を勝ち取る勢い。連日、小幡とともに早出特守から鍛えられていた高寺も冬を越した後の成長が楽しみな選手だ。

 守り重視を掲げる岡田監督らしく、守備練習中に自ら指示を出す場面が目立った。中間守備の撤廃など、次々と“岡田の考え”をチームに浸透させていったのが印象的だった。

 今秋は紅白戦やシート打撃は行われなかった。5年連続リーグワースト失策の守備の改善へ、新任の馬場コーチの指導を中心に捕球、送球の基礎練習が繰り返された。朝の早出から夕方の個別練習まで、サブグラウンドで基本動作の反復で体に覚え込ませていた。来年2月以降、実戦で発揮できるかが試される。

 ◆投手編

 投手陣は直球のスピン量増強をテーマに、岡田監督が課した連日のブルペン投球に取り組んだ。免除されている伊藤将、浜地と、トミー・ジョン手術から復帰した才木以外の投手が皆勤した。

 存在感を示したのは西純だろう。1年間を投げ抜けるフォーム作りに着手した中、手応えをつかんだ様子。指揮官も「ローテーションに入れなあかん投手。順調」と評価した。

 安藤投手コーチは、名前こそ明かさなかったが「4人かな。ボールの質が急にグッと良くなった」と話す。その中に含まれる可能性があるのは、村上、石井、岡留ではないだろうか。課題に対して試行錯誤している段階の投手もいた中、一歩先に進んでいる印象だ。

 ただ、岡田監督は「そこまではいかんなぁ」と話したように、前回監督時の07年秋季キャンプで絶賛し、翌年に2桁勝利を挙げた岩田稔のような、来季の活躍を予感させるまでの投手は現れなかった。

 好評価を受けていた桐敷は終盤になるにつれて、思うような球がいかず苦しむ場面も。昨季中継ぎで39試合に登板した及川は2段モーションを封印してフォーム改造をスタートさせたが、時間はかかりそうだ。今キャンプの投手陣で最年長の馬場は最多の計1244球を投げ込んだが、課題のストライク率や球の質はさらなる向上が必要と見受けられる。

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