【岡田彰布氏の眼】阪神は序盤に流れをつかみ損ねたことが最後まで響いた

 「セCSファイナルS・第2戦、ヤクルト5-3阪神」(13日、神宮球場)

 虎が崖っぷちに追い込まれた。「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルS第2戦が行われ、阪神は痛恨の敗戦を喫した。アドバンテージを含めて0勝3敗となり、CS突破には残り4連勝しかない状況となった。

  ◇  ◇

 阪神は序盤に流れをつかみ損ねたことが最後まで響いた。この日までのCS4試合で1試合の最多得点が3点。点を取るために佐藤輝を先発から外して、5番にマルテ、6番に原口を起用した。

 だが、そのキーマンが機能しなかった。初回に先制して、なお1死一、二塁で5、6番が凡退。複数点を取っておきたい展開で、1点しか奪えなかった。

 いきなり嫌な流れとなった。それでも先発・藤浪が初回に降雨中断がありながら無失点でしのぎ、直後に再び流れを引き寄せられる好機が巡ってきた。

 二回に先頭の7番・糸原が左前打を放って無死一塁。相手先発のサイスニードの立ち上がりは不安定で、主導権を握るためにも確実に追加点を奪いたい場面だった。

 だがここで梅野に強攻させて左飛。藤浪はスリーバント失敗。その後、2死一塁で中野が左前打を放つ悪循環で無得点だった。

 そもそも7番からの打順は点が入らないと考えた方がいい。無死からヒットを打ってくれれば「もうけもん」と思って送りバントで進めればいいし、8番に安打を期待してはいけない。

 さらに得点圏にさえ進めれば、何が起きるか分からないわけだ。シーズンでも何度も見た光景だが、欲が出た攻撃に見えた。序盤に追加点を奪えれば、こういう劣勢にはならなかったと感じる。

 また、無死一塁で梅野に送りバントをさせれば、相手もシフトを敷かないし、簡単に決めやすい。ただ、1死一塁で藤浪が送りバントとなると、相手もシフトを敷いて阻止しに来ていたし、決めることは難しくなる。選手はプレッシャーがかからない状況の方が成功する確率も高いだけに、藤浪も難しかったのではないか。

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