阪神・矢野監督 マウンドで湯浅にゲキ「思い切り楽しんで!オマエにかけてるから」

 「セCSファーストS第3戦、DeNA2-3阪神」(10日、横浜スタジアム)

 九回1死満塁の大ピンチ。リードは1点。サヨナラ負けを喫すれば、その瞬間に矢野阪神が終わる緊迫の場面で、指揮官がベンチを飛び出した。マウンドに待つのは自らが期待をかけ続け、このCSでは守護神に抜てきした湯浅。矢野監督が笑顔で語りかける。

 「ドラマ作るなあ~。もう行くしかない、思い切り楽しんで!この場面、オマエにかけてるから、どんな結果でもいいから、思い切って行ってくれ!!」

 叱咤(しった)に笑顔でうなずいた湯浅が代打・藤田を二ゴロ併殺に斬る劇的な幕切れ。三塁側通路に勝者の雄たけびが響く中、会見場に姿を見せた指揮官の目は真っ赤に充血していた。

 矢野監督が自らマウンドに行き、投手にハッパを掛けるのは3度目。昨年のハマスタでは、直後に及川がソトに逆転2ランを浴びたこともあった。「湯浅が今年成長してくれたおかげでここまで来られた。どんな結果になろうが受け止める気持ちでいた」とうなずく。

 六回には3番・近本、4番・大山に慣れない送りバントを命じ、ともに失敗。それでも“教え子”たちが救ってくれた。「選手たちがみんなでつないで、必死にやってくれた。こんなにうれしいことはない」。そう言って再び瞳を潤ませた。

 夢はつながった。「選手たちが諦めずにやってくれたから、まだドラマは終わらない。全員で夢と理想を追って、最高のドラマを起こしてきます」。いざ、リーグ覇者・ヤクルトが待つ神宮へ-。勢いに乗った矢野阪神が下克上を起こす。

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