チームの“顔”を簡単にベンチへ下げる阪神 中田良弘氏「4番をもっと大事に」

 「中日1-5阪神」(27日、バンテリンドーム)

 阪神・藤浪晋太郎投手(28)が7回5安打1失点の好投で2勝目を挙げた。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は「右打者への内角球の使い方」を今後の課題に挙げる一方で、八回に代走を送られベンチに下がった佐藤輝の起用法に苦言を呈した。

  ◇  ◇

 まず佐藤輝の話から入りたい。八回に先頭打者として四球を選んで出塁したところで、代走を送られベンチに下がった。この交代には首をかしげざるを得なかった。

 まだ中日の攻撃を2イニングも残している段階。結果的にこの回の攻撃で2点を加えたから安心できたが、追加点がなければ2点差で八、九回を迎えなければならなかったのだから理解できない。

 それと佐藤輝はタイガースの4番。チームの“顔”は最後までグラウンドに立っているのが望ましい。ベテランではなくまだ2年目の若手。代走を送られるほど足が遅いわけでもないでしょう。

 26日の中日戦では二塁の守備につきビックリした。こんなサプライズはいらないですよ。

 外野を守り、三塁を守り、二塁まで。昔の話で恐縮だけど、掛布さんがそんなことやらされたら、ファンは怒ったはず。チームの“顔”をもっと大事にしてほしい。

 大山も同じように内外野を守っている。中軸を担う2人が、その場しのぎであっちこっち行ってはだめでしょう。

 野手経験者に聞くと“一塁と三塁は全然違う”“レフトとライトも打球の切れ方が違う”と言うし、簡単ではないと思う。

 守備に必要以上の神経を使うことで、打撃に影響を及ぼしては元も子もない。守備からリズムを作るとも言うしね。

 こんな使われ方ではベストナインやダイヤモンドグラブ賞が獲れなくなるよ。表彰選手を選ぶのに“あれっ、どこを守ってたっけ?”てね。OBとしても心配。少し考えてあげてほしいね。

 藤浪に関しては1失点で切り抜けた三回がポイントだった。なおも続いた一死一、二塁でビシエドを二ゴロ併殺に仕留め、追加点を許さなかったシーン。

 藤浪-梅野のバッテリーは20日の巨人戦同様、右打者に対して徹底した外角攻めで勝負していた。

 外角要求は抜け球対策なのだろうが、この工夫で藤浪は立ち直りを見せている。ビシエドを迎えたところでも焦りや不安を感じさせず、落ちついて料理していた。

 同時に注目しているのは、この“封印”している右打者への内角球を、いつどの段階で使うのかという点だ。

 三回、阿部に中前適時打を浴びたのは外角のフォークだが、ある程度読まれていた雰囲気はある。

 六回、同じ阿部を三振に打ち取った打席では、5球目に逆球の直球が内角へ入りファウル。これが見せ球になったのか、次のやや甘めの直球を空振り。結果的にいい配球になった。

 この攻め方を意識してできるようになれば投球の幅はグンと広がる。外角低めにいい球が投げ切れているのは、いいフォームで投げられている証拠。今の藤浪なら、もう一段上を目指す投球は可能だと思うね。

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