阪神・島本復活 1039日ぶり1軍登板!魂の14球3人斬り「頑張ってきて良かった」
「巨人7-0阪神」(4日、東京ドーム)
貴重な中継ぎサウスポーが1軍に戻ってきた。20年11月に左肘のトミー・ジョン手術を受けた阪神・島本浩也投手(29)が4日、3年ぶりに出場選手登録され、0-5の六回から登板、1回を無失点に抑えた。長く苦しいリハビリ生活&育成契約を乗り越えて、1039日ぶりの1軍マウンドで躍動したプロ12年目。大逆転Vを目指すチームのために懸命に腕を振る。
1039日ぶりの1軍マウンド。東京ドームの拍手、声援が一瞬で時を戻してくれた。復帰登板を三者凡退で終えた苦労人を、チームメートがベンチ前で出迎えて祝福する。苦境を再び乗り越えて、島本が帰ってきた。
前夜に告げられた突然の1軍昇格。「もうあとはやるだけ。早く投げたい。気合は入っています」と高まる気持ちを抑えられなかった。5点ビハインドの六回。その名がアナウンスされると、左翼席の虎党を中心に温かい拍手が湧き起こった。
「歓声がすごかったので、頑張ってきて良かったなと。マウンドに行く時は緊張してたんですけど、その歓声を聞いてリラックスしたというか…」。スイッチの入った島本は、先頭の中山を空振り三振に斬る。後続も凡退に仕留め、「どんどんストライクゾーンで勝負しようと思ったけど、それができた」と白い歯をのぞかせた。
19年にブレークし、チーム最多63試合に登板。「今年駄目だったら、ユニホームを脱がなきゃいけないなと。そのタイミングで子供が生まれたんで」。大車輪の活躍の裏には18年に誕生した長女・咲良ちゃんの存在があった。
だが、酷使した左肘が悲鳴を上げ、同年オフにクリーニング手術。翌20年6月の2軍戦では左肘の靱帯までも損傷し、11月にトミー・ジョン手術に踏み切った。咲良ちゃんも、もうすぐ4歳。パパの職業もすでに理解し、「家で応援してると思います」。長い長いリハビリ生活を終えてマウンドに帰ってきた、その勇姿を誇りに思っているに違いない。
「振り返ってみると長いんですけど、マウンドに上がったら、あんまり3年もかかった感じはなかった」と島本は言う。それはもう、すでに視線が前を向いているからこそだ。
10年度の育成ドラフト2位で入団。今回の手術で再び育成契約となりながら、再びはい上がってきた。126→69→120→46。背番号も3度変わった。「今日からまた、この背番号で活躍できるように」。矢野政権初年度に花開いた左腕が、監督最終年、奇跡のドラマを狙うチームへ帰還した。
◆島本 浩也(しまもと・ひろや)1993年2月14日生まれ、29歳。奈良県出身。176センチ、73キロ。左投げ左打ち。投手。背番号46。今季推定年俸2100万円。福知山成美から2010年度育成ドラフト2位で阪神入団。15年から支配下登録。同年4月2日・ヤクルト戦(神宮)でプロ初登板(中継ぎ)。21年からの育成契約を経て22年6月20日に支配下再登録。