阪神快勝の中で唯一気になるのは佐藤輝の2三振 高代延博氏「昨年の二の舞だけは」
「阪神6-0ヤクルト」(29日、甲子園球場)
阪神がヤクルトに快勝し、後半戦の好スタートを切った。ただ佐藤輝は2三振を含む4打数無安打。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「三振の仕方が非常に悪い。頭の中がパニックになっているのではないか」と語り、反転攻勢へ向けた大きな懸念材料に挙げた。
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打たせて取る西勇の投球内容といい、クリーンアップへつなぐ1、2番の活躍といい、首位チームを手玉に取るような阪神の試合運びには“強さ”を感じたね。
初回の速攻。中押しとダメ押し。送りバントを確実に決め、北條はバスターも決めていた。DeNAとの前半戦ラスト3試合に3連勝。その勢いを緩めずに持ち込んだ。この1勝は大きいですよ。
ただ、佐藤輝の打撃だけは気になった。五回と七回に三振を喫したのだが、両方とも内容が悪い。
特に五回の空振り三振は、ボールが捕手のミットに届いてからバットを振るような、いわゆる“着払い”スイングだった。
打者は速い球を意識し、追い込まれると変化球も頭に入れて対応する。調子のいいときはそれができるが、この打席の佐藤輝は、それまでの変化球が頭にこびりつき、まったくできていなかった。
三振の仕方が悪すぎるのだが、いずれにせよ4番打者が、あのような姿をさらしてはダメ。
七回の空振り三振は2-2からの外角高めの直球。このコースなら手が伸びるから仕留めやすいのに、当たらなかった。
その過程で見せた3度のファウルは、どれも“差された”打球で惜しいという当たりはゼロ。
なぜそうなるのか。“手出し”が遅れているからだ。つまり始動が遅いからそうなる。では、なぜ始動が遅れるのか。おそらく頭の中がパニクっていて、考えがまとまっていないのだろう。
この姿を見ると、ヤクルトサイドは30日の2戦目も速い球で攻めて来ることが予想される。わざわざ遅い球を中心に組み立てる必要はないだろうから。
佐藤輝は昨年、球宴と五輪ブレーク明けの後半戦再開のころからおかしくなった。考えすぎかもしれないが、似たような時期に差し掛かってきただけに気になる材料ではある。
もう一度、しっかり汗をかくなどして、夏場を乗り切らないと。昨年は1年目で体力的な問題もあっただろうけどね。とにかく昨年の二の舞だけは避けたいところだ。
この試合は佐藤輝ひとりカヤの外だったが、5番の大山が救ってくれたね。初回の中前適時打は内角の難しいコース。速い球に詰まりながらも、うまく押し込めている。八回の本塁打もよかった。
ヤクルトにとって初対決となったロドリゲスに対しては、外角一辺倒の配球から内角攻めに転じてくるように思う。1本塁打を含む2安打2打点。初戦は様子見だったんでしょう。
佐藤輝とロドリゲスへのヤクルトバッテリーの配球。2戦目はそのあたりに注目してみるのも面白い。