「オープン戦、オリックス２－１阪神」（２０日、京セラドーム大阪）

　絶対に一歩も引かない。真っ向勝負で沈める。阪神育成・渡辺雄大投手（３０）は腹をくくっていた。０－０の六回２死。吉田正を迎える場面で登板した。カウント１－２と追い込み、最後は１３７キロの直球を低めにズドン。２年連続首位打者のバットは空を切った。

　「真っすぐ、ツーシームを吉田にぶつけて。自信を持って今後投げられるようにしたいという思いがあった」。魂を込めて投じた５球で“吉田正斬り”を果たし、左封じを完遂。試合後、球団から支配下選手登録することが伝えられた。

　第一の目標を達成した変則左腕は「正直すごく不安な日々だったんですけど。素直にうれしいです」と笑顔。だが、すぐに「チームを代表してマウンドに上がる責任感というのも一段と大きくなると思うので。すごく身が引き締まる思いです」と開幕後を見据えた。

　昨季ソフトバンクを戦力外となり、阪神に育成契約で加入。１軍キャンプで猛アピールを開始し、オープン戦では５試合に救援登板して計２失点だった。

　及川、岩貞と中継ぎ左腕に故障者が出ていることもあり、“なべじい”にかかる期待は大きい。「力になってくれると思う」と矢野監督。渡辺は「少しでも日本一の力になれるように投げていく。ただそれだけだと思います」と気合を込めた。

　◆渡辺　雄大（わたなべ・ゆうた）１９９１年９月１９日生まれ、３０歳。新潟県出身。１８５センチ、８４キロ。左投げ左打ち。投手。中越から青学大、ＢＣ・新潟を経て、２０１７年度育成ドラフト６位でソフトバンク入団。２０年８月３１日に支配下登録。同年９月４日・ロッテ戦（ペイペイドーム）でプロ初登板（救援）。２１年１０月に戦力外通告を受け、同年１２月に阪神と育成契約。通算成績は９試合１ホールド、防御率３・１８。