【高代延博氏の眼】捨て身の巨人に振り回された阪神 「初戦の負けが尾を引き動きが止まった」

 「セCSファーストS・第2戦、阪神2-4巨人」(7日、甲子園球場)

 巨人に連敗した阪神がCS第1ステージで敗退した。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「阪神は捨て身の巨人に振り回されて負けた感じ」と語り、「初戦のワンプレーによる敗戦が尾を引いているようだった」と指摘した。

 初回、先頭の近本がヒットで出塁したときは、十中八九、送りバントだと思った。

 しかし、打席の中野は初球、2球目と簡単に見送り、あっさりと追い込まれあと、三邪飛に倒れてしまった。

 バントではなくノーサインだったということになるが、何かスッキリしない空気を感じた。

 常に積極的な打撃を見せている中野にしては珍しく待ちの姿勢だったし、かと言ってベンチからサインが出ている様子もない。

 このシーンを見ていて、初戦のピッチドアウトの後遺症なのかもしれないと思った。

 前日、阪神は巨人サイドにエンドランのサインを見抜かれて、チャンスをつぶしている。それが尾を引いているのかなと。

 その後、糸原がヒットでつないだが、無得点に終わった。

 二回に4安打を集めて2点を先取したが、梅野と佐藤輝の連続二塁打に近本と中野の連打で奪ったもの。決してベンチが動いて得点したものではない。

 その後の攻撃で何度かチャンスを築いてはいたが、どれもベンチが仕掛けていったものではなかった。つまり初戦の“ワンプレー”が阪神ベンチの動きを止めてしまったように思えてならなかった。

 当然、サインは変えているはずだし、もとよりサインがバレていてもバントはできるのだから。

 四回、先頭の佐藤輝が四球で出塁した場面では、投手の伊藤将に代打糸井を送り、強攻策に出た結果、二飛に倒れて走者を送れなかった。

 ここはピンチバンターとして山本を出してくると見ていたのだけどね。

 1点ビハインドの状況。2位球団のアドバンテージとして、引き分けは有利に働くのだから、まずは追いつくことを優先する作戦をとるべきではなかったか。

 阪神ベンチは、どこかモヤモヤしたものを引きずっているようだったね。結局、一度もベンチから仕掛けることはなかった。

 巨人は初戦と合わせて3度、送りバントを成功させ、すべて得点に結びつけた。地味な攻撃だが、短期決戦を勝ちきる術を知っているのだろう。

 この日は八回無死一塁から、丸がバントヒットを決めてダメ押し点につなげた。

 何をしたら勝てるかという思考においては、巨人が阪神を上回っているということだろうね。

 阪神は捨て身の巨人に振り回されて負けた感じ。不調の高橋を早々と二回途中に降板させ、三回以降無失点リレーを演出した原監督は“してやったり”という顔をしているように見えた。

 そして大切なことを指摘しておきたい。阪神は最後まで守備の弱点を克服できなかった点だ。敗因はこれに尽きる。中野と大山の失策が響き、2度とも失点につながった。

 三回無死満塁の投ゴロで併殺を取れなかった青柳の守備も痛かった。ほかに記録に表れない送球、返球の乱れも目立った。

 今年も課題だったこの守備力の強化を徹底しないと、来年も大事なところで“致命的な1点”を与えることになってしまう。

 負けるべくして負けた。そう考えて再度、守備の重要性を念頭に置いた練習に取り組むしかない。

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