阪神・岩田 同じ病に悩む人たちへ 「病気なったけど、全然大丈夫ですよー」
今季限りでの現役引退を発表した阪神・岩田稔投手(37)が25日、デイリースポーツのインタビューに応じ、プロ16年間の現役生活を振り返った。高校2年の冬に発症した1型糖尿病のこと、これまで印象に残る対戦、若手への思いなどを明かし、今後の夢も語った。
-16年間を振り返って印象に残る対戦は。
「ピッチャーは吉見(元中日)ですね。高校時代からの付き合いで、4、5回対戦して1回だけ負けがついたのが自分で。自分にあのコントロールがあれば違ったやろうなって思いますね」
(続けて)
「バッターはイ・スンヨプ(イ・スンヨプ、当時巨人)に本塁打を打たれて泣いたことがあります。悔しくて。08年、甲子園で。バッテリーを組んでいた矢野さんのサインに首を振って。イ・スンヨプはインローが得意やからインハイにいきたかったけど、投げミスでインローにいってしまった。バックスクリーン横に放り込まれて試合に負けました。首を振ったから絶対にそこに投げないといけないのに、それが情けなくて」
-プロ1年目のキャンプは覚えているか。
「お客さん状態。テレビで見てた人たちがいるし、フワフワした状態であっという間に月日が流れた感じでした」
-プロでやっていけるという思いは。
「全然、2年で終わるわと」
-先発の顔ぶれか。
「リリーフの人もえげつないボールをみんな放ってたし、ジェフ(ウィリアムス)さんと久保田さんと球児(藤川)さんと。何やこの人らと(笑)」
-3年目に2桁勝利を挙げた。
「2年目の途中でちょっと腕を下げるきっかけがあった。遠山さん(当時2軍投手コーチ)といろいろ取り組んで、ボールが行きだしたなっていう感覚が出てきた。勝負できるかなという感じになりましたね」
-ツーシームも。
「(元阪神の)辻本賢人に教わって。自分の左腕は少し曲がっていて、もともとシュートピッチャーなので投げやすかった」
-動くボールも武器だった。
「自分は真っすぐ投げてるのに、きちゃない真っすぐってよく言われました。ジョーさん(城島)からも、『ちゃんと投げろよ』って(笑)」
-16年目の今季は中継ぎに挑戦した。
「ちゃんとやったことないことにチャレンジしてみたかった。チーム、ブルペンが一致団結している感じで楽しかったですね。毎試合ベンチにいるから展望とか把握できるんで。すごくいい経験になりましたね」
-この2年若手と接することが多かった。
「刺激はもらいました。チームから組まれたメニューをこんなにがむしゃらに練習してるねんなって」
-いい投手が多い。
「能力はみんな高い。オヨ(及川)もそうやし、西純もええもんは持っとると思うし。晋太郎(藤浪)もこんなところ(2軍)で投げてるピッチャーじゃない」
-今後の夢は。
「これからは(1型)糖尿病で悩んでる子どもたちや親御さんが全国にたくさんいると思うので『病気なったけど、全然大丈夫ですよー』ということを伝えていけたらいい。ちょっと顔見るだけでも気持ちが変わると思う。同じ時間を共有するだけでも意識は変わってくると思うので。僕自身もいろんな社会経験をして、人間的に成長していけたらいいなって思ってます」