虎の執念 二回途中から7回1/3を0封リレー 痛恨ドロー、でも負けなかった
「巨人2-2阪神」(13日、東京ドーム)
執念継投で意地を見せたが痛いドローだ。阪神は西勇のアクシデントによる降板で二回途中から継投に入り、最後はスアレスがサヨナラのピンチで踏ん張り引き分けに持ち込んだ。阪神・矢野燿大監督(52)は、投手陣をたたえた一方で勝てなかったことへの複雑な表情も見せた。中日に勝利したヤクルトはマジックを減らして「8」に。2位以上は確定したが、勝てなかった悔しさと共に、諦めずに戦っていくしかない。
応援団の活動が再開されたドームに、チャンスマーチが響く。九回1死二、三塁。スアレスが絶体絶命のピンチを迎える。巨人ファンの醸し出す、サヨナラ勝ちへの期待感が場内に充満した。
それでもリーグトップ独走の40セーブを挙げる絶対的守護神は動じない。一気にギアを上げると、まずは吉川を159キロの直球で空振り三振。さらに今の巨人打線で最も勢いのある松原を161キロの快速球で空振り三振に斬る。その瞬間、虎党の拍手喝采がG党のため息をかき消した。
ヤクルトが勝ったため、引き分けでも痛い。何としても勝ちたかった一戦だった。「うちは勝たないと駄目な状況。よう踏ん張ってくれたかなと思うけど、その一方で勝たないと…」。試合後の矢野監督も複雑な表情だ。
それでも、マジックを一気に2つ減らされるという最悪の状況は阻止した。しかも西勇が二回途中で緊急降板するという、まさかの事態で始まった試合。後続の投手陣が懸命にカバーしたという意味では、虎の『意地』が詰まったゲームでもあった。
一番の貢献者は急きょの登板ながら、快投を見せた馬場かもしれない。二回2死三塁で登板。フルカウントから坂本を三ゴロに仕留めて追加点を許さなかった。さらに三回はクリーンアップをピシャリ。「試合の流れを左右する場面で使ってもらっているので、とにかく必死に投げました」と汗を拭った。
四回からは今カードで中継ぎ待機していた伊藤将が登板。「中でもしっかり仕事ができることをアピールできたかな」。社会人卒の経験豊富なルーキー左腕は、3回を危なげなく切り抜ける。その後はアルカンタラが七、八回をしのいでスアレスへ継投。「ピッチャーが踏ん張ってくれたから引き分けになった」と指揮官も中継ぎ陣を褒めたたえた。
ヤクルトのマジックは8となり、最短で19日の甲子園直接対決で高津監督が宙に舞うことになるが、簡単には終わらせない。あきらめたら、そこでゲームセットだ。残り9試合。わずかな奇跡を信じて、この日のような『意地』を積み重ねていく。