阪神・近本 止まらん12度目猛打賞 先頭打者で3度快音、セパ最速140安打到達
「ヤクルト1-0阪神」(15日、神宮球場)
必死に攻撃のきっかけを作ろうとした。4度巡ってきた先頭打者の機会のうち、3度快音を響かせた阪神・近本。敗戦の中で切り込み隊長としての仕事を全うした。
「自分のやるべきことはできましたが、チームが負けてしまったので悔しい気持ちです」
試合の主導権を握るために1打席目から集中力は研ぎ澄まされていた。一回、小川が投じた初球、高めに浮いた速球に反応。バットを鋭く振り抜き、放った打球は右翼線を破る二塁打となり、チャンスメーク。この一打で、両リーグ最速となるシーズン140安打に到達。しかし、後続が倒れ、先制機を逃した。
1点を追う三回には一塁へのゴロに全力疾走。ベースカバーに入った右腕を追い抜き、内野安打とした。ただ、続く中野の打席で二盗を試みたものの憤死。自らの足で好機を広げることはできなかった。
そして六回、この日3度目の先頭での打席でも魅せた。今季12度目の猛打賞となる3安打目の右前打。その後、三塁まで進み、2死満塁として逆転へ望みをつないだが、サンズが左飛に倒れて生還できず。ホームベースが遠かった。
孤軍奮闘もむなしく、零封負け。試合後は悔しそうな表情を浮かべながらグラウンドを歩き、球場を引き揚げた。それでも打撃では好調を維持している。8、9月の後半戦打率は・372。今季の打率も・311とし、リーグ4位に浮上した。
シーズンも残り31試合。悲願のリーグ優勝へ向けて一戦必勝で戦い抜くしかない。「優勝争いに関係なく、常に勝つことだけを考えているので、特に意識することなく目の前の試合を一戦、一戦戦っていくだけ」と近本。虎の韋駄天(いだてん)は、これからも打って走って打線の起点となる。