阪神ドラ6中野 12盗塁トップタイ!成功率100%キープ 貯金最多17でG6差
「日本ハム2-4阪神」(10日、札幌ドーム)
ついに壁を破った。阪神が9度目の挑戦で、今季最多の貯金17に到達した。立役者はドラフト6位・中野拓夢内野手(24)=三菱自動車岡崎=だ。五回は決勝適時打。2盗塁を決めて12盗塁とし、成功率100%のままリーグトップタイに躍り出た。今季3度目の同一カード3連勝で、2位・巨人とは今季最大の6差。快足ルーキーに引っ張られ、独走態勢へ突入や!!
かつては一人の虎党として訪れた札幌ドームで、「中野拓夢」と書かれた赤いタオルが揺れた。ドラフト6位・中野が父・茂明さんの故郷で3日連続の大活躍。殊勲のヒーローはインタビューを終えると、スタンドに向かって帽子を取り、手を振った。
「先制点が取れていなかったので、自分が先制点をチームにもたらそうという気持ちを持って打席に入った」
こう振り返った打席は、両チーム無得点の五回2死一、二塁。息の詰まるような投手戦の均衡を破った。迷うことなく、初球を振り抜いた。白球は右前で弾み、二走・梅野が本塁生還。矢野監督も拍手で先制打をたたえ、「どうだ」と言わんばかりに、中野もにやっと笑みを浮かべた。
守備が魅力の内野手として、プロ入り。ただ、今は守りだけではない。打撃はもちろん、「塁に出たら自分の足でかき回そうという気持ちを持っている」と、ファンを魅了する足もある。
先制打の直後だった。次打者・マルテへの2球目。果敢にスタートを切り、二盗成功。この時点で、2年連続盗塁王の近本に並ぶチームトップタイの11盗塁を記録した。
これで終わらない。死球で出塁した七回2死一塁。宮西が3度もけん制を送り、最大限の警戒態勢を敷く中、モーションを盗んだ。捕手は慌てて捕球できない。今季2度目の1試合2盗塁で12盗塁とし、ヤクルト・塩見に並んでリーグトップタイ。さらに交流戦7盗塁も12球団トップ。成功率100%もキープした。
矢野監督も「新人という感じにも見えなくなってきてる」と絶賛。中野も「阪神タイガースの野球ができるように頑張っていきたい」と新人とは思えぬ落ち着きで、チームを代表して言葉を発した。
交流戦では15年の楽天戦(甲子園)以来6年ぶりの同一カード3連勝。9度目の挑戦で今季最多の貯金17に到達した。敗れた2位・巨人とは、今季最大の6ゲーム差だ。首位を独走する猛虎打線に欠かせない即戦力新人。互いに高め合うドラフト1位・佐藤輝(近大)と共に、チームを頂点に導いてみせる。