阪神・佐藤輝いた 球団新人交流戦打点記録更新 猛虎12安打10点で巨人と5差

 5回、佐藤輝の打球は足元で大きくバウンドし2点適時二塁打となる(撮影・田中太一)
 5回、近藤の右飛を好捕する佐藤輝(撮影・西岡正)
 5回、右翼線に適時二塁打を放つ佐藤輝(撮影・西岡正)
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 「日本ハム3-10阪神」(9日、札幌ドーム)

 もう巨人の影が…遠くかすんだわね。阪神はドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が球団新人の交流戦打点記録を更新する右翼線2点二塁打を放ち、また新たな1ページを球団史に刻んだ。勢いに乗った打線は今季6度目の2桁得点で日本ハムに連勝し、巨人とは今季最大の5ゲーム差。さあ、独走態勢に入るで-。

 迷いはなかった。フルスイングすると決めていた。6-1の五回1死一、三塁。打席に入った佐藤輝は開幕直後にトレードで移籍した元同僚・谷川に視線を向けた。2球目の低めスライダーを一振り。たたき付けた打球は高くバウンドし、一塁・高浜の頭上を越えて右翼線に転がった。

 「いい場面で回ってきましたし、いつも通りしっかり自分のスイングをしようと思っていました。いいところで弾んでくれて、ついていました」。日本ハムの戦意を喪失させるラッキーな2点二塁打。交流戦での打点を「11」に増やし、2017年の糸原(9打点)を抜いて球団新人最多記録を更新した。

 オリックスの中川圭が19年にマークしたプロ野球記録・12打点までも残り「1」と迫る。四回1死一塁の場面では加藤から左中間に運び、この回一挙4得点の流れをつくった。

 プロ入り初めて5番に座った前夜はワーストの4三振。原口の決勝二塁打で劇的な勝利をかみ締める一方、心の中では何か引っ掛かるものがあった。一夜明け、この日の試合前練習では北川打撃コーチと個人レッスン。身ぶり手ぶりで打撃指導を受け、気合も注入された。

 また、この日は5月度の月間MVP賞を受賞したことが発表された。球団の新人野手では史上初の快挙で、オールスターのファン投票でも依然としてセ・リーグ外野手部門でトップ。12球団最多得票となる15万9603票を集める中、バットで感謝を示したかった。

 「今日も2つ(三振)しましたけど、しっかり振るということを常に心掛けていますし、昨日のことは切り替えて新しい気持ちで試合に臨んで、しっかり2本打つことができたので、良かったです」

 矢野監督は凡退した打席を指摘した上で「次につながっていく。伸びしろだと思う」と無限大の可能性に期待した。オセロ状態が続き、波に乗れなかったチームは交流戦初の連勝を飾り、3カードぶりの勝ち越し。2位・巨人とのゲーム差は今季最大の「5」に広がった。次々と記録を塗り替える怪物新人がいる限り、進撃は止まらない。

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