「阪神７－５ＤｅＮＡ」（２５日、甲子園球場）

　阪神は矢野野球が掲げる“全力疾走”が出た試合だった。特に光ったのは糸原の走塁だ。

　まず五回２死一、二塁からサンズの飛球を一塁手・田中俊が落球した場面。二走・糸原がホームへ生還したが、『落とすかもしれない』という意識を持っていたからこそ生まれたプレーだといえる。

　七回の走塁も効果的だ。１点を追う無死一、二塁というプレッシャーのかかる状況で、陽川が犠打を決めて走者を進塁させ、大山の同点犠飛につなげた。また、この時に二走・糸原がスキを突き三進したことで相手バッテリーもフォークなどが投げづらくなり、サンズの２ランへの呼び水となったといえる。

　気になったのは二回の梅野の右越え二塁打。全力疾走の中でも“強弱”があり、三塁を狙おうと二塁をオーバーランして止めたのか、二塁手前で速度を緩めたかで意味は異なる。

　この後の打順が８番だと考えれば、三塁へ行ってほしかった。得点が２点か３点かで相手の戦術も変わる。打った後の走者としての意識も大事にしてほしい。