阪神・井上に“大山塾”打撃の悪癖矯正へ矢野監督のススメ「悠輔見といてみって」

 「阪神(降雨中止)ヤクルト」(17日、甲子園球場)

 阪神ドラフト2位・井上広大外野手(19)=履正社=が、大山悠輔内野手(25)から打撃の極意を学んでいることが17日、明らかになった。この日も打撃の助言を受ける姿が見られた。矢野燿大監督(51)も井上に対し「(大山)悠輔を見といてみ」と指示。将来的に2人の本塁打王争いを期待した。

 雨が降りしきる甲子園球場。中止が決定する試合前、突如ベンチ内で“打撃塾”が開講されていた。ルーキー井上が視線を向ける先には4番・大山の姿が。バットの構えた位置からスイングに至るまでの体の使い方など、打撃の形を教わっている様子が見て取れた。

 実はこの動き、今回が初めてではない。井上がプロ初昇格した前カードの中日戦(ナゴヤドーム)でも大山と話し込む場面があった。将来の4番候補が、現在リーグトップの本塁打数をマークしている現4番に-。その対話には、矢野監督も一役買っているようだ。

 「(井上は)ちょっと外からバットが出るような感じがあったから。インサイドアウトを使うのを勉強しないと。だから、悠輔見といてみって言って。そしたら(大山に)いろいろ聞いて。それも大事なことやと思うよ」

 悪癖を矯正するためには、4番から極意を学べ。井上も大山も同じ右の大砲でタイプは似ている。単に1軍に昇格し、試合に出るだけが全てでない。一線でプレーする選手たちから何を感じ取るか、技を盗めるか。結果を追い求めるだけでなく、1軍での経験、過ごし方も今後の成長へ向けた糧となる。

 「今の状態では1軍のスタメンでずっと出られる立ち位置という力はない」と、厳しく指摘した上で「1軍に行ったら目指すことが見えるから。俺はそういうのにも意味があると思う」と英才教育の大切さを語った。

 高い資質を感じさせるからこそ、期待も膨らむ。「そりゃ将来(井上、大山の)2人でホームラン争いしてくれるようになったら球団にとってもそんな楽しみはないしさ」。順調な成長曲線を描けば、本塁打王も狙える可能性のある逸材だ。

 初安打、初打点から一夜明けた。試合が雨天中止となると井上は熊谷、小幡とともに場内を一周してファンに手を振った。「ヒット1本だけでこれだけたくさんの人が喜んでくれた。もっと、球場やテレビ越しで応援してもらえる選手になっていきたい」。挑戦は始まったばかり。この一日、一日が成長の土台となっていくはずだ。

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