【西山秀二氏の眼】内外角プラス縦。一球一球が完璧だった阪神・西勇
「広島1-9阪神」(8日、マツダスタジアム)
阪神・西勇が、非の打ちどころのない投球で大勝を呼び込んだ。抜け球もなく、一球一球が完璧。これぞエースという内容だった。
他の投手と西勇には、大きな違いがある。通常のピッチャーの配球は、若いカウントで相手打者に内角、もしくは外角のどちらかを意識させておいて、その反対のボールで打ち取る、というものだ。
ところが西勇は常に、両サイドを意識させる。当然、打者としてはつい、その両方を追いかけてしまうのだが、そうやって意識を散らされた中で、しかもほとんど甘い球のないギリギリのコースを打ち返すのは、至難の業だ。
加えて、内でも外でもなく相手に「来た!」と思わせるところから、縦に落とす球も効果的に使っていた。内外角プラス縦。広島の各打者の集中力を大いにそぎ取る投球術が、存分に生かされていた。