「練習試合、阪神７－６中日」（８日、北谷公園野球場）

　遊撃の定位置を争う２人のアーチ合戦で、２０２０年初の対外試合は白星発進。阪神の木浪聖也内野手（２５）が４点を追う四回、バックスクリーン右にチーム第１号となる３ラン。同点の九回には北條史也内野手（２５）が左中間席に決勝ソロ。開幕レギュラーの座を巡るバトルが熱い－。

　目の覚めるような快音が響き渡った。俺が開幕遊撃のスタメンだ－。そう言わんばかりに木浪がフルスイングで豪快な一発。言葉でなく、結果で示した。遊撃の定位置獲りに燃える若虎が、猛アピールの対外試合“チーム１号”となった。

　「初めての試合で、その中で自分のスイングを出すことができた。自分も入ったと思わなかったんですけど、来た球に対して自分のスイングができた」

　試合の流れを一気に引き寄せた一撃は４点を追う四回だ。２死一、二塁。２ボールからの３球目。真ん中低めの１４０キロ直球をフルスイングした打球は失速することなく、バックスクリーン右に着弾。暗雲を振り払う３ランで１点差に詰め寄った。

　このアーチに同じく遊撃を狙う北條のバットが黙っていない。火を噴いたのは同点の九回１死。３－１から藤嶋の直球を完璧に捉えた。打球は左中間席へ。「風という部分もありますけど。１本も打ってなかったので、１本打ててホッとしてます」と意地の決勝弾で２０２０年の対外試合初勝利を導いた。

　開幕遊撃の座を懸けたアピール合戦は、試合前から勝負が始まっていた。この日のスタメンは木浪が「７番・遊撃」。北條は「９番・ＤＨ」だった。起用について矢野監督は「じゃんけんで今日は決めたんだけど」と明かす。

　思惑通りに繰り広げられた、し烈な遊撃争いを指揮官は高く評価した。「理想的なショート争いにね。高いレベルで争ってくれたら。いいショート争いが初戦からできたかなと思います」と積極的なプレーの集積に納得の表情を浮かべた。

　初戦から結果は出たが、当然、お互いに満足はしていない。木浪は「まだ始まってもいないので、しっかり継続していきたい」とし、北條も「次につなげられるように。これからなので」と気持ちを引き締めた。

　一歩も譲らなかった同級生対決。その熱いバトルが開幕直前まで続けば、間違いなくチームに相乗効果が生まれる。