西の執念 初回打球直撃も5回0封 虎FA投手初の10勝
「DeNA0-7阪神」(28日、横浜スタジアム)
阪神が3試合連続無失点リレーで4連勝を決めた。先発の西勇輝投手(28)は初回に打球を足で止めて投ゴロに仕留めるなど、執念の投球で5回0封。虎のFA投手として史上初のシーズン10勝を挙げた。残り2試合。6連勝締めで逆転CS進出をつかみ取る。
予想外の出来事に動じず、価値ある白星にたどり着いた。「勝ちを付けさせてくれるイニングまで投げさせていただいたので」と西は感謝の思いを述べた。負ければCS進出の可能性が消滅する崖っぷちだった。奇跡へとつながる道を途絶えさせることなく、西が5回無失点。今季10勝目で夢をつないだ。
初回先頭、梶谷の打球を右足で止めて投ゴロに仕留めた。送球後、痛みにうずくまったが、そのまま続投した。前夜、女房役の梅野に「今、自分が持てるものを出そう」と連絡していた。痛みよりも気迫が上回り「こういうハプニングがあった中でも何とかゼロで、と思っていました」とマウンドで持てる力を発揮した。
その後、2死一、二塁のピンチを招いたが、中谷の好守に救われ無失点で切り抜けた。二回も無死一、二塁とされたが8番・伊藤裕を遊ゴロ併殺。五回までに3つの併殺を奪うなど要所を締め、得点を許さなかった。
5回4安打無失点で降板。ベンチに戻ると最前列で声を枯らした。周囲への純粋な気遣い、チーム、仲間を大切に思う心は、高校時代から変わらない-。
高3の10月、西がノロウイルスに感染した。だが「学校に行かなアカン、練習せなアカン」と病院へは行かずに登校。授業前のホームルーム中に吐き気を催した。すると教室内の同級生全員が西に駆け寄ったという。
「すごかったよ、あの時。『死ぬんじゃないか』みたいな感じでみんな来て。めっちゃうれしかった」。西自身がいつも仲間を大切にしているからこそ、仲間たちも西のことを心から心配した。
当時の菰野高野球部コーチ・佐藤良氏も「誰も嫌な顔をせず心配して。いろんなところでチームメートを大事にしているんだな」と振り返る。
仲間とともにつかんだ2年連続6度目の2桁勝利。阪神にFA移籍した投手のシーズン10勝到達は初めてだ。「あと2個、死に物狂いで全員で勝って、鳥谷さんとも一日でも長く、ともに戦いたい」と右腕。大きな白星が虎に勇気をもたらした。
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