原口 激走V!13試合ぶりスタメン 秋山と同級生バッテリーで3タテ阻止

 6回、北條の適時二塁打で、激走し本塁へ滑り込む一走・原口
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 「ヤクルト3-5阪神」(8日、神宮球場)

 打って、守って、走った!阪神の原口文仁捕手(27)が「7番・捕手」で13試合ぶりにスタメン出場し、走攻守の活躍で勝利に貢献した。六回に同点となる投手強襲の適時内野安打を放つと、続く北條の左中間二塁打で一塁から激走し、勝ち越しのホームを踏んだ。捕手としても同級生の秋山を懸命にリード。3連敗中のチームを必死のプレーで救った。

 ベンチで勝利を見届けた原口は、秋山と2人、そっと手と手を合わせた。届けたかった勝ち星、つかみたかった“初勝利”。殊勲の同点打以上に、先発投手、チームの勝利を喜んだ。連敗を止めた攻守の輝き。3度目自力V消滅の可能性があった一戦で、不屈の男がまたも窮地を救った。

 「粘りというか、絶対に1点欲しい場面だったのでね。とにかく集中していきました」

 六回。糸井、大山の連打で1点差に迫り、なおも2死三塁で打席を迎えた。2-1から4球目。外角のシュートがバットの先に当たる。芯は外れた。それでもフルスイングした打球が山田大のグラブに当たり、二遊間を襲った。遊撃・奥村の送球より一歩、原口の激走がベースに届いた。

 試合を振り出しに戻すと、続く北條の打球が左中間を破った。原口は迷わず三塁を蹴る。「キツかったですが、チームのためになってよかったです」。試合後は照れ笑いする。足がもつれながらの激走で、勝ち越しのホームに滑り込んだ。7月24日のDeNA戦以来、13試合ぶりのスタメン。連敗を止めたい、勝ちたい一心だった。

 神宮球場に来れば幼少期の思い出がよみがえる。小学3年の冬。父秀一さんに連れられ、初めて神宮でヤクルト-巨人戦を観戦した。ネット越しに見た阿部の姿に、捕手として生きていく道を決める。もう一つ。来場者プレゼント抽選に当選した。景品は神宮観戦チケット。野球に歓迎された少年はこの時、野球の楽しさを知った。

 初めて買ってもらったグラブはキャッチャーミット。4年生で軟式チームに入ると、食事中も宝物を離さなかった。「フミがグラブはめて寝てる」。姉の驚く声に家族が笑顔になった。原点の光景だ。大腸がんの手術から、復帰即タイムリー、球宴2戦連続アーチの衝撃でファンに感謝、感動を届けた。ただ、原口にとって完全復活は正捕手での活躍だ。

 「うれしいことなので。またこういう機会があれば、チームのために頑張りたいです」

 捕手としても必死のリードで投手を支えた。秋山と1年ぶりのバッテリーで初勝利。同級生で同期のコンビは、プロで10年の歳月を過ごした。「一緒にお立ち台に」と夢見る右腕と、「20年、一緒に現役を」と誓う捕手。2人の思いが導いた1勝でもある。残り39試合。ファイティングポーズはまだ、崩さない。

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