阪神のドラフト１位・近本光司外野手（２４）＝大阪ガス＝が９日、古巣の大阪ガスへ野球選手向けのタイム測定装置「ＦＡＳＴＲｕｎ－Ｒ」（開発・製造＝合同会社ワイワイファクトリー、製造販売元＝株式会社大阪ホーマー）を寄贈したことが分かった。正確に走力のタイムを測定できるハイテクマシン。快足自慢の選手育成に期待し、“第２の近本”誕生を願った。

　古巣への恩返しの品として選んだのは、快足を武器にする近本ならではの逸品だった。野球選手向けタイム測定装置「ＦＡＳＴＲｕｎ－Ｒ」（定価２８万３５００円）。走力向上へハイテクマシンを寄贈した。

　「何か役に立つものを贈ろうと考えていたので。大阪ガス時代に何度か使ったことがあったタイム測定装置は、あったほうがいいと思って選びました。これを使って足の速い選手を生み出してくれたらいいと思います」

　現在、リーグ２位の１０盗塁をマークするなど、他球団の脅威となりつつある近本の足。社会人時代から常に向上心を持って磨き上げてきた。その際に、活用していたのが同製品。阪神球団は所有しているが、大阪ガスでは定期的にレンタルして使用していたという。自らの経験から、常に使用できる環境を整えれば、さらなる技術力向上が望めると考え、お世話になったチームのために購入した。

　もともと陸上やスキー用として開発。野球用はベースにセンサー（定価３万円）を巻きつけ、踏んだ時の振動でタイムが測定される。正確なタイムが測定されることで、速く走るための姿勢などを見直すことが可能。「人の手で測るとどうしても誤差が出てしまう。機械の力を借りれば、正確なタイムを知ることができて、今日は体がキレているなとか知ることができる」と自身の状態診断にも活用できると説明した。

　自らを成長させてくれた大阪ガスへ、プレーでも手本となる。８日で１２連戦が終わり、この日は東京から帰阪。５日のＤｅＮＡ戦では「背中の強い張り」を訴え、途中交代を経験した。疲労が蓄積する中でも結果を残してセ・リーグ６位の打率・３１１をマーク。「疲れた中でどうプレーするかって分かってきているところです」と新たな収穫を得た。

　「連戦で貯金も作れましたし、この流れでチームが優勝できるように頑張っていきたい」。最高の恩返しは勇姿を届けること。多くの人の目標となるために、虎の切り込み隊長はフル稼働し続ける。