ドラ3木浪 プロ1号3ラン!菅野撃ち汚名返上「素直にうれしかった」

 7回、3ランを放つ木浪=甲子園
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 「阪神4-12巨人」(19日、甲子園球場)

 平成最後の「伝統の一戦」で、令和のヒーローの予感漂うルーキーが躍動した。完敗を喫した中、阪神ドラフト3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=が七回、巨人・菅野から右越えにプロ初本塁打となる1号3ラン。前日のヤクルト戦では全力疾走を怠って途中交代を命じられただけに、汚名返上の一発となった。

 昨日のミスが、明日への希望に変わる。何度も天高く突き上げた拳。木浪が意地を見せる。反撃の3ランは、球界のエース・菅野からだった。「素直にうれしかった」。敗戦の中に見えた光。プロ初本塁打に、笑顔でダイヤモンドを一周した。

 信頼を取り返す。その一心だった。6点ビハインド。悲鳴、ため息が響き渡る本拠地は、明らかに劣勢ムード。それでも、なんとか挽回したい男が、闘志を燃やし続けていた。一振りで変えた球場の雰囲気。見せ場は七回だった。2死一、三塁の好機に、木浪が打席へと向かった。

 チャンステーマが響き渡る。高まる押せ押せムード。だが、木浪は一人冷静だった。静かに息を吐く。そして1ストライクからの2球目だった。内角のスライダーを強振。打球は大歓声に後押しされるかのように、右翼ポール際へと吸い込まれていった。

 汚名返上となる3ランアーチ。感情は自然と爆発した。「ヒットになってくれればいいって。菅野さんから打てたのは誇りです」。試合には敗れた、だからこそ試合後は口元をきゅっと結ぶ。あの一瞬だけの喜びに、浸ることはない。それでも空気を変える一発に、球場にいる全ての人が勇気づけられた。

 取り返したかった。18日・ヤクルト戦での“ミス”を。先発出場した木浪だったが、2打席目に代打を送られた。初回、ワンバウンドした球に空振り三振後、一塁へ全力疾走していなかったプレーで、途中交代となった。「諦めるような選手は使いたくない」と指揮官の逆鱗に触れ、木浪は「自分が悪い」と声を絞り出していた。

 懸命に前を向く、いや向こうとした。この日はベンチスタート。試合前練習では元気のない木浪に、筒井外野守備走塁コーチも声をかけた。「元気か?気持ちで負けてるぞ」。自らを奮い立たせた。菅野の投球をじっと見つめ、何度も、何度もタイミングをとった。

 強い思いが白球に乗った一撃。九回にも適時二塁打を放ち、この日は全得点をたたき出した。「結果も少し残せたので。今日使ってくれた監督に感謝したい」。その思いには、まだ続きがある。勝ってこそ輝く、次なる一打を放つ。

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