同級生による新春ＢＩＧ対談が実現だ。昨秋に１軍監督に就任した阪神・矢野燿大監督（５０）と、昨年前人未到のＪＲＡ通算４０００勝を達成した天才ジョッキー・武豊騎手（４９）が、５０歳という節目で挑む１９年に向けた思いを語り尽くした。矢野監督が常々口にしているファンを喜ばせるという思いに、武騎手も共感。異なるスポーツであっても、超一流のアスリートだからこその互いの哲学に触れ合い、感じ取った刺激を胸に、ファンのためにも熱い一年を戦っていく。以下は対談その５。

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　矢野監督（以下矢野）「ジョッキーは楽しいですか？」

　武豊騎手（以下武）「楽しいですね」

　矢野「良かった（笑）やっぱりずばぬけてる人は楽しまれてるんですよね。武さんは楽しんでてほしいなと思って、勇気を持って聞いたんですが（笑）。これだけの成績残されてて、楽しんでなかったらどうしようかと（笑）。うれしいです。僕は楽しんでなかったんですよ。結果を出さなあかん、勝たなあかん、何とかしなあかんとかというのが大きくなりすぎて、楽しむことができなかったんです。でも現役を離れていろいろな人と会う機会が増えた時に、それは全く野球と関係ない仕事をされてる方でも、すごい人は楽しんでるなというのが僕の中で共通してあって」

　武「楽しいし、オフの日でも競馬のことを考えたり、見たりするのが好きですね」

　矢野「これが理想なんですよ。だからしんどくないんですよね、やらされてないから。だから僕は自主性を大事にしたいんです。早出という練習があるんですけど、春のキャンプは、早出に関しては個人個人がどうやりたいかというので、こっちから『やるぞ、やるぞ』ではなく、『僕やりたいんです』『よし、じゃあいくぞ』という感じでやれたらいいなと思ってるんですけど。やっぱりすごい人は楽しんでるんやなあ」

　武「やっぱり一番好きですからね」

　矢野「好きなことを仕事にされてるんですよね。僕もそうではあったんですけど、楽しめなかったんで。凡人は」

　武「でも去年の２軍監督は楽しまれたんですよね？」

　矢野「本当に２軍監督は楽しかったので。１軍監督がどうかはまだ想像できないんですが（笑）。今のうちはめっちゃ可能性のある選手が多いんですよ。若手が伸びたら、ベテランも、おいおいお前らまだ早いよ、となってくるし、中堅ももちろんですし、チーム内の競争、ライバル意識が高まって、チームが強くなるというか。２００３年もライバル意識が強かったと思うんですよ。日替わりヒーローが出たり。あいつが出たら、俺は出れないかもとかプレッシャーを感じたり」

　（続けて）

　矢野「だから僕は、チーム内の競争があるのがチームが強くなるための条件になるのかなと思っていて、それはだいぶ整ってきていて。その競争をもっと激しくするために、ドラフトも外野争いを激しくするためにね。内野手もピッチャーも取りましたが。今はめっちゃ楽しみですけど、開幕になればどんどん不安が大きくなっていくかもしれないですけど」