中谷、九回同点タイムリー 犠打失敗帳消しの勝負強さ「あと交流戦全部勝つ」
「交流戦、楽天1-2阪神」(16日、楽天生命パーク宮城)
しびれる場面で、やはりこの男が打席へと向かう。1点差。阪神・中谷が一振りで、劣勢ムードを一変させた。「チームのために打てたことが一番よかった」。試合を決めたのは高山。それでも…。反撃ののろしを上げたのは、2年連続の活躍を誓う25歳のバットだった。
試合は最終局面で一気に動いた。1点を追う九回に作った1死二塁の好機。2ストライクと追い込まれてからの一撃に、気持ちを込める。そして迎えた5球目だった。137キロの変化球に対し、バットを振り抜く。打球は右中間を抜け、試合を振り出しに戻す同点適時二塁打に。0行進を続ける絶対エースの則本を、一打でぶち破った。
取り返さなければならないミスがあった。五回無死二塁の絶好機で犠打のサイン。難敵相手に確実に先制点を取りたいベンチの思いを受け、バットを横にしたが、1球目は見逃しストライクをとられ、2球目はファウル。最後は強行策で投ゴロに倒れ、好機を無得点に終えてしまった。「ミスをしていたので、何とかかえしてやろうという気持ちで打席に入りました」。今度こそは-。強い気持ちがバットへ乗り移った。
昇格してからは、好調をキープ。15日は値千金の先制2ラン、そしてこの日は起死回生の同点打だ。得点圏打率・429を誇り、勝負強さが際立っている。「あと交流戦全部勝とうという話を今日していたので、交流戦全部勝つ気持ちでやっていきたいと思います」。ヒーローインタビューで虎党に誓いを立てた中谷。はにかみながら見せた笑顔とは対照的に、その言葉はとても力強かった。