大山、意地のタイムリー CS打率・538締め 敗退の中で希望の光

 「セCSファーストS・第3戦、阪神1-6DeNA」(17日、甲子園球場)

 勝ちたかった。まなざしが、立ち居振る舞いが、そう叫んでいるように見えた。「負けたので…」。22歳で背負った、責任と覚悟。チームに1点をもたらした一塁ベース上の阪神・大山は、一瞬でも笑うことはなかった。

 意地の1点となったのは六回だ。2死走者なしから、福留がフェンス直撃の二塁打でチャンスメーク。キャプテンの一撃に、ルーキーのバットも呼応した。カウント1-2からの4球目、高めの速球を右中間へはじき返すと、二走・福留が一気に生還。これがラストゲームでの唯一の得点となった。

 四回にも2死一塁から右前打を放っており、チャンスを演出。2試合連続の複数安打で、初めての短期決戦を舞台に存在感を見せている。15日の第2戦では、阪神の新人ではCS史上初となる本塁打&猛打賞。ポストシーズンではプロ野球史上初となる新人での4安打。今CSは打率・538、1本塁打、4打点と大暴れだった。

 大山悠輔。日々、成長中の若虎だ。期待のドラ1…とはいえ、戦場は厳しいプロの世界だ。いつだって危機感と隣り合わせ。1軍に昇格後は、8打席連続無安打だった。6月23日・広島戦でのプロ初打席は空振り三振。その次の打席も空振り三振だった。

 もう、当たらないんじゃないか…。嫌なイメージが、何度も頭をよぎる。「(6月29日の)中日戦で初スタメンだったとき、これで打てなかったら終わり。ラストチャンスだと思っていた」。結果を残さなければ生き残れない。そして初昇格から4カ月間、1軍の最前線で戦い抜いた。

 大山が、今季何度も口にした言葉がある。「出るからには勝たないといけない」。危機感と向き合い続け、背負った責任と覚悟。だからこそ、勝ちたかった。ただ、それだけだった。

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