大山大暴れ 虎新人CS初弾、初4安打

 「セCSファーストS・第2戦、阪神6-13DeNA」(15日、甲子園球場)

 秋雨降り注ぐ聖地で、阪神・大山悠輔内野手が野球史に名を刻んだ。CSの大舞台で阪神の新人では初の本塁打&猛打賞。プロ野球史上初となる新人での4安打で、あと三塁打を放てばサイクル安打という大暴れだ。新たな時代の幕開けに甲子園は揺れる。惨敗の中に光明はあった。

 二回に右前打で出塁すると、俊介の適時打で先制のホームに生還。そして、圧巻は三回に飛び出した一発だ。今永のスライダーを完璧に振り抜き、左中間席に突き刺した。阪神では史上初の快挙、球界の新人では13年のロッテ・加藤以来、4人目となるCSでのホームラン。「いつも通り思い切って打ちにいったことが、いい結果につながった」。まだ、勢いは止まらない。

 六回に一塁線を破る二塁打で好機を作り、七回1死二、三塁では中堅フェンス直撃の2点適時二塁打。前日の最終打席と合わせ、5打席連続安打と猛打爆発だ。DeNAが誇るロペス、筒香、宮崎の中軸にも引けを取らない成長著しい打撃が打線に勇気を与える。

 昨夏の“衝撃”が大山を強くさせた。横浜スタジアムで筒香、ロペスら、野球界を代表する強打者たちの鋭い打球を目の当たりにした。「もっとレベルアップしないと、プロでは通用しない」。自身の心に言い聞かせて、白球を追った。

 白鴎大野球部の黒宮監督は「悠輔(大山)は謙虚、謙虚。4年間でそれは変わらなかったです」と話す。大学日本代表で4番を務めても、阪神からドラフト1位指名されても、愚直に進む野球道は揺るがない。あの夏の記憶が、向上心に火を付けた。雨中で奏でたこの日の4安打が、大山の進化を証明した。

 「チームが勝つことが一番なので、明日頑張ります」

 試合後、ルーキーの表情に笑顔はなかった。4時間35分に及んだCSファーストS第2戦は6-13の完敗。だが、虎には頼もしい金の卵がいる。大山のバットが、日本一に続く扉をこじ開ける。

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