制球力生かす坂本の好リード 秋山とのコンビで5戦3勝0敗

 独自の目線からプレーの深層に迫る「虎目線」。坂本誠志郎捕手(23)にリード面での成長が見えた試合があった。7月28日の中日戦(ナゴド)。先発の秋山拓巳投手(26)をミットを構える位置やジェスチャーで懸命に引っ張った。7回無失点の好投を引き出した裏側には、2年目捕手の奮闘があった。

 工夫を凝らしてリードする姿があった。18・44メートルの距離があるとは思えないほど、坂本が秋山と息の合ったコンビネーションを見せつける。右腕の長所である制球力を生かす好リード。立ち上がりからリズムよく打者を打ち取ると、7回無失点を完成させた。

 明らかに配球の意図を伝えようとしていた。それは座る位置に表れていた。外角に構える時、ストライクが欲しいケースではストライクゾーンの中でミットを構える。一方、ボールでもいい場面であれば、ゾーンから外れた位置に体を置いた。微妙に位置を変えることで投手には、はっきりとその真意が伝わる。そうしたわずかな変化で勝負どころでの投球ミスを減らしていた。

 さらに、大きくジェスチャーを使って球を要求した。「ここはいっぱいに、もしくはボールでもいい」と、言葉は使わなくともコースの端を右手で示す。高さについても、特に注意する場面であれば「低く、低く」と両腕で示している。また、勝負球を要求する場合は腕を強く振るしぐさを。何種類もの動作で、秋山を引っ張った。

 実はこの試合前、矢野作戦兼バッテリーコーチからある助言をもらっていた。「秋山はコントロールがいい。ただ、コントロールがいいと、怖さはない。その怖さをお前が作らないといけない」。それは実際に試合になって現実となった。

 打者は投手が制球を苦にしない場合、追い込まれる前からバットを出す傾向にある。坂本はその日、竜打線に対して「どんどん振ってくるな」と察した。「緩いボールを使ってカウントを稼いだり、あとはシュートをうまく使えたと思う。右打者の内角に投げたり。ボール、ボールを振らそうと」。自身で考えた配球は、相手にとって脅威となっていた。

 秋山とは5試合でバッテリーを組み3勝0敗。好相性を見せるが、坂本は謙そんしつつ話す。「(意図を感じて投げるのは)もともとできるピッチャーなので。いつも考えて投げられている」。ただ「できることはしておかないと。後悔したくないので」と続ける。1球で投手の野球人生を左右することもある役割。開幕前にケガで出遅れ、悔しさをかみ殺してリードのイメージを膨らませてきた。

 5日のヤクルト戦でも秋山が途中降板するアクシデントにも冷静に対応し、計6投手の完封リレーを演出。岩貞、能見らと組む際にはこのリードがうまくはまらず、結果につながらないこともあるが、確かな成長は見せている。名捕手への階段は地道に、着実に上がるしかない。

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