能見が連敗止めた クールに6回1失点

 「阪神3-1ヤクルト」(1日、甲子園球場)

 長い長いトンネルに光を送り込んだのは阪神・能見だった。6回1失点。暗闇からチームを救い出し、勝利に導いた。「(チームが)勝ててよかった。後ろのピッチャーもよく投げてくれました」。今季3勝目。ベテランらしい粘り強さで、先発の責任を果たした。

 不穏な空気が漂う中でも、流されることなく自身の仕事を全うした。立ち上がりから走者を背負っても要所を締める。丁寧に低めを突いていき、凡打の山を築いた。唯一の失点は山田に浴びたソロだけ。危なげない投球で、チームを連敗ストップへと導いた。

 金本監督も左腕を称賛する。「いつもと変わらないというか、たぶん気持ちはいつもと違うとは思うんですよね。連敗中なんで。でも何事もなかったかのようにすんなりと6回1失点で。さすがキャリアのあるピッチャーだなと。ナイスピッチングでした」。燃える闘志を内に秘め、クールに背中でチームをけん引した。

 能見が長年培ってきた投球術、勝負勘を、今季全登板時にマスクをかぶる梅野は感じ取っている。「真っすぐ、変化球でも意図的に微妙に速さとか勢いを変えていると思う。(同じ球種でも)考えて投げられているのが伝わる」。ベテラン左腕は試合前の走塁練習時などで、梅野に声をかけることもある。若手捕手の育成-。そんな役割も果たしている。

 勝ち星に恵まれないときも、辛抱強く投げ抜いてきた。通算100勝まであと「5」。虎を支え続けてきたベテランが、節目の記録にまた一歩近づいた。抜群の制球力に加え、球の威力、キレは衰え知らず。冷静にクレバーに投げ勝ち、虎党に笑顔をもたらす。

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